‘毎月11日の備忘録’ カテゴリーのアーカイブ

88ヶ月め

2018 年 7 月 11 日 水曜日


今日は2011年3月11日から2,679日
382週5日
7年4ヶ月
88回めの11日です

こうやって毎月日数をカウントしてきて、
しかし、
大阪北部地震に遭われた方は、
2018年6月18日からの3週間ちょっとを、
振り返る余裕もなく今を奮闘されているであろうこと。

西日本豪雨に遭われた方は、
ここ数日なにかを考える余裕も無く、
恐怖と不安の時を過ごされていること。
もしくは、
2018年の七夕の夜が「恐怖と不安」で語られるであろうこと。

ボクはボクの想像力が追いつかないでいることにイラつきながらも、
今この瞬間困難に置かれている1人ひとりを想像し、
ボクのようなものでも誰かの力になれる瞬間があることを信じ、
いつもと変わらぬ毎日を大切にして過ごしておきます。

その前に、東日本に思いを寄せた絵を描いておきました。
なにか役に立つようなことがあればご自由にお使いください。

大きなデーターで必要な方はメッセージいただけたらです。

こんな絵を思いついた背景には、
関西で暮らす友人がボクのFBのポストに寄せてくれたコメントがあります。

お蔭で雨あがりました。
青空が、夕焼けが、俯いていた人々の顔をこんなにも上げさせるって知らなかった。

東日本大震災発生直後の宮城県塩釜の生産者さんは、
時が来て漁を再開した際、見上げた空を以前と変わらずカモメが飛んでいる姿に、
自身のなんたるかを確認したようなことを、ボクに教えてくださいました。

雨もあがり、見回せば自身の無力に押しつぶされてしまいそうな現実が、
洪水の水以上に押し寄せてくるのではないかと、
やはり足りぬ想像力を働かせてそう思います。

ただ、1日のどこか、わずかな時間でも空を見上げる余裕が生まれたらいいなと。

そんな簡単に思えるようなことでも、1人でいては叶わぬ場合もあります。

もしわずかでも心に余裕を見つけることの出来た方があれば、
身近の方へのちょっとした声掛けを大事に、
一緒にちょっと空を見上げてみる、そんな時間が生まれますよう、
こんな絵がそんなちょっとしたことに役立ってくれたらいいなと願っております。

大変暑い季節です。
被災された方も、それを助ける方々も、どうぞご自愛のほど。
ボクもやれることやってゆこうと思います。

先日は去年に続き「よよぎえほん」
渋谷区の”かぞくのアトリエ”主催で長野県茅野市の今井書店の高村志歩さんの講演、
『絵本でのびる子どもの力』がありました。

親が子どもと絵本を介し交わすコミュニケーションの「甘やかな記憶」
そうすることで子どもが手にすることが出来る想像力と言葉の力。

自然災害に遭ったお子さんが受けた恐怖を、
一気に晴らすことは難しいことなんだと承知しています。

ただ、生活の中のちょっとした時間で、
名作と言われる絵本を親子で共有することが出来たら、
お子さんの心はその時間分救われるんだと思います。

それがどんな「ためになる本か」なんてことはどうでもよく、
しかし、美しい絵と言葉の綴られた、
親と子の間で豊かな会話が生まれるものであったらいいなと。

高村さんの講演を聴きながら思いました。

高村さんはさらにこう続けました。

「母なる者の手を持った大人たち、子ども達に深い物語を届けましょう!」

子育てというものがお母さんひとりの力では叶わない時代にあって、
子どもに関わる大人がどんなマインドを持ち、子どもになにを与えたらいいのか、
端的に語っていると思います。

これは自分の仕事にも関わっていること。
今この瞬間なにが必要されているのか、
たえず耳をすませ、自分の中に落とし込んでゆこうと思います。

以下身近な場所の出来事をちょっと。

ボクが暮らす街にある20メートル×4メートルの壁面2面を、
息子の通う小学校の生徒全員とボクとで描くことになり、
先日は、小学校のオヤジグループで掃除を下地塗りを行いました。

息子の小学校のPTA会長sさんの発案で、
後々は学校カリキュラムの中でも時間をとっていただき、
このエリアの町会のみなさんや、
壁面に関わる電鉄や渋谷区や東京都、
画材総合卸しのバニーコルアートさんなどのご協力のもと、
それがみな並列に置かれるような関係性で、
渋谷区のある街に子どもたちの故郷を創るイメージ。

素晴らしい壁画を生まれることと共に、
それがどんなコミュニケーションのもと生まれたのか、
壁画完成の後、そんなコミュニケーションのあり方を「とみがやモデル」と名付け、
それを必要とされる地域にシェアしてゆくことまでも目標にしています。

壁画は2019年末あたりを目指して、ゆっくり姿を変えながら描かれてゆきます。

代々木八幡駅、山手通り高架下の20メートルの壁2枚、
その前を通り過ぎるみなさんに楽しんでいただけたら幸いです。

もしくは、
今の白い壁の前で写真をパチリ。

ハッシュタグ
#八幡白壁 #とみがやモデル
インスタにポストしてみてください〜


そんなこんなで、ここ数ヶ月地域の先輩方とコミュニケートすることが多く。
地域のお祭りで「提灯絵付けワークショップ」なるものまでやっております。

以前は、代々木八幡の例大祭になると、
街中にズラ〜〜っと提灯が並んだのですが、
徐々に、徐々によ減ってゆき、今はほとんど提灯が並びません。

ならば、地域の子どもたちが絵をつけた提灯が並んだら、
それは子どもと地域の先輩方を結びつけるとともに、
やはり、楽しいよね〜〜!って。

とりあえず実験的に始めています。

こんなアイデアがうまくいったら、
東北や西日本の小さな街とかにも持ってゆけたらいいな。

そう出来るようにも、
まずは自分の足元から。

88ヶ月めの自分。
足場がしっかり見えてきました。

87ヶ月め

2018 年 6 月 12 日 火曜日

今日は2011年3月11日から2,649日
378週3日
7年3ヶ月
87回めの11日です。

千葉県袖ケ浦市のブランディングを市の若手職員のチームと行っています。

去年にお話をいただき、今年の5月から夏にかけて彼らとセッションを繰り返し、
袖ケ浦市をどう見てもらうのか、どこを伸ばしてゆくのかを導き出し、
3枚のポスターを製作し世に問う作業です。


東京湾アクアラインが出来たことで、「対岸」の東京とのアクセスが俄然よくなった袖ケ浦市。
人口は6万ちょっとだけど、京葉工業地帯に含まれ豊かな税収を得ながら、
東京や千葉のベッドタウンとしても発展を続けているとのこと。

目を転じれば緑豊かな丘陵に囲まれ田んぼや畑が気持ちよく広がっている土地。

先日取材もかねて行ってみたのですが、
お年寄りがのんびり公園を散策されている姿が微笑ましく、
見学させてもらった保育園の子どもたちは、元気だったなあ〜!

ただ、袖ケ浦に暮らすみなさんには土地の魅力を語る決定的な言葉が無い?

市の若手グループとのミーティングでも、
みなさんそれぞれ理想や志のある言葉を語ってはくれるのだけど、
心にグサッと刺さってくるものが無い。

そこで今あらゆる現場でやっている「絵を描くワークショップ」急遽開催。

個人の「たのしかった袖ケ浦」の経験をシンプルな言葉と絵で語るのだけど、
これがもう、ざっくざっくの宝の山だったのです!!

詳しいことはまだ発表できませんが、
市の魅力を端的に語る言葉(コピー)や
イラストレーターのボクにも思いつかなったポスターの構図なんてものが
いくつも浮上してきたのです。

東京(中央)やグローバルの価値観を無理やり地方に落とし込まなくても、
これだけ情報に溢れた時代に、丁寧に読み取ろうとする努力がなされるかぎり、
その土地に暮らしてきた人や働く人の中に答えは埋まっています。

この仕事を実りあるものに昇華させることで、
このような試みを必要としている場所に届けてゆきたいです。

このブログではなにがなんだかわからないでしょうが、
それでもなにか必然を感じらた方は、どうぞご遠慮なくお声掛けください。

ボクは最終的に楽しく美しい絵を描き、
それが絵としてみなさんに楽しんでいただいたり、
もしくは、ポスターや冊子や名刺なんて現場で活躍させたりが出来たらいいのですが、
それがよりローカルに暮らす人の必要とされるものであるために、
ちょっと遠回りであっても、このようなコミュニケーションの現場を創り続けてゆくつもりです。

今日は、昼前いっぱいで息子の小学校のPTAの作業で、
家庭への配布物の校正やデザインのアドバイスをしていました。
(そんなわけでこのブログも日付をまたいだ今作成しているのです、、)

一般にこのような書類は、仕事に特化したソフトを用いられて作成されるのですが、
そうなるとどうにも管理する側の発想のものが出来てしまうなと。

家庭でも忙しくしている親御さんたちが、本当に必要とする情報に行き当たるまでに、
A4やA3のペーパーをくまなく読まなければならない、、そんなことが多々あります。

そんな状況が気になっていたので、
今回思い切ってそれを手にする人目線で情報の整理をしてみました。

そうしてみたら、
いや〜、気持ちの良い配布物に仕上がったなあ〜〜!!

てか、管理する側も伝えたいことが実にシンプルに的確に伝わるではないか!!

ペーパーにはごく簡単なイラストレーションを、やはりごく小さくあしらい、
あとは必要な情報を順を追って的確に、スムースに目で追ってゆけるよう、
文章のレイアウトを変えていっただけなのですがね。

ほんとちょっとした部分で絵やデザインを生かすだけで、
人と人のコミュニケーションに余裕が生まれるって実感。

今は「ああ言った」「こう言った」とか、
「あれを言っちゃまずい」「これは言わないでおこう」とか、
人とのコミュニケーションが息苦しいものに感じてしまうかもですが、
まだまだまだまだ絵やデザインの活躍の余地はあり、
それを活用することで得られる人生の豊かさってものを求めてゆきたいし、
これからも恐れずあらゆる現場で活用してゆこうと思っています。

そうそう、先日は小山薫堂さんのオフィスに併設されたカフェで、
希望者や小山さんのスタッフさん向けに、

そして、カミさんの勤める保育園のスタッフ向けに、
ワークショップを開催しました。

とてもシンプルな表現をするだけの時間ですが、
シンプルだからこそ滲み出るそれぞれの場所、人の特性が見えて、
だからこそ、ちょっと恥ずかしいような真面目な話も真剣に語れてしまったり、
人との距離がグイと近づく経験を重ねています。

その経験は、またボクに絵を描かせるし、
それがまた次の場所へと導いてくれるようです。

っと、
今回はかなりバタバタな11日の日記になってしまいましたが、
ともかく確かな一歩で進んでゆかねばです。

86ヶ月め

2018 年 5 月 11 日 金曜日


今日は2011年3月11日から2,618日
374週5日
7年2ヶ月
86回めの11日です。

2011年の震災直後より始めた「本・つながる・未来」
http://www.yakuin-records.com/amigos/?p=6095

ヴァイオリニストの金子飛鳥さんとHADEN BOOKSの林下英二さんとボクとが発起人となり、
震災後の夜の暗さの中でも表現することを続けようという目的とともに、
そこで集まったお金を本に変え、それを必要とするであろう場所へ送ろうという目的のもと、
青山のrainyday cafe で、そしてHADEN BOOKSへと場所を変えて続けてきました。

そして7年後の今、
はじめてその目的をひとつの形にしました。

長野県茅野市の今井書店の店主、高村志歩さんに絵本のセレクトをお願いし、
宮城県気仙沼市唐桑で小山さんご一家が営むカフェ Printempsに
「あすか文庫」と名付けて送っていただきました。

まずはその選書一覧(コメントは高村さんのもの、写真は小山さん撮影)

「くだもの」平山和子:作
日常、子供が食べる果物を鮮やかに描いた言葉の優しさも響く食べ物絵本。

「おかあさんといっしょ」薮内正幸:作
どうぶつと言ったら、薮内さんの絵本!生き物絵本。

「かんかんかん」のむらさやか文・川本幸:制作・塩田正幸:写真
かんかんかんのリズムと不思議な踏切。なぜか、子ども達の心をわし掴み。

「きゅうりさんあぶないよ」スズキコージ:作
ナンセンス!読みどころいっぱいです。何度読んでも飽きません。

「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん」高野文子:作・絵
ぐっすり眠れますようにとのお願いに頼もしく答えるしきぶとんさん達。

「いしゃがよい」さくらせかい:作
 時の経つって言う事は。パンダのファンファンとエンさんの心に染みるいしゃがよい。

「あーといってよあー」小野寺悦子:文・堀川理万子:絵
声、出してみましょう!あなたの一番素敵な声、聴かせて!

「すずめくんどこでごはんたべるの」たしろちさと:文・絵
あなたのそばにもきっとすずめがいてくれる。同じ空の下、今日もご飯食べようね。

「かさもっておむかえ」征矢清:作・長新太:絵
私が傘持っておとうさんをお迎えに行くの。

「くもすおやぶんとりものちょう」秋山あゆ子:作
虫の時代劇絵本!書き込みが楽しすぎて、1人でも絵を読んで楽しめます。

「とんことり」林明子:絵  
とんことり、あなたも誰かにとんことり。待っているかもしれないいい音。

「とべ ちいさいプロペラき」小風さち:作・山本忠敬:絵
小さくたって空を飛べるよ。胸を張ってどこまでも大空へ。

「こんなおみせしってる」藤原マキ:作
あなたの周りにはどんなお店があるかな?探検したくなっちゃいます。

「てぶくろ」E・M・ラチョフ:絵・内田莉莎子:訳
てぶくろを大きく大きくして、誰と入ろうか?

「はらぺこあおむし」E・カール:作・ポプラ社
たくさん食べておおきくなったあおむし。さあ、美しい羽を広げて舞い上がれ!

「つきのぼうや」オルセン:作・絵・山内清子:訳
子どもの時、この本を梯子みたいに長い本だと思いました。小さい時のこの形を、ぜひ

「かいじゅうたちのいるところ」センダック:作・じんぐうてるお:訳・冨山房
ハラハラドキドキ、ちょっと怖くて、でもお家に帰れるってやっぱりうれしい事!

「ちびごりらのちびちび」ボーンスタイン:訳・いわたみみ:訳・ほるぷ出版
みんなに愛されているちびちび。子どもって本当に愛される存在です。

「こねこのぴっち」フィッシャー:作・岩波書店
とにかくかわいいぴっち。やっぱりお家が一番なんです。

「ラチとらいおん」マークベロニカ:文・絵 徳永康元:訳
子どもにはらいおんがいて欲しい。大人もらいおんが恋しかったりしますから。

「子うさぎましろのお話」佐々木たづ:文・三好碩也:絵・ポプラ社
ましろのおろかさとかわいさを全国にお届けしたいのです。

「からすのパンやさん」かこさとし:作
かこさとしの最高傑作です。パン屋さんは楽しいんです。

「いやいやえん」中川李枝子:作・大村百合子:絵
日本の子ども達にはいやいやえんはどうしても読んでもらって欲しいのです。

「かえるのエルタ」中川李枝子:作・大村百合子:絵
幼年ファンタジーのNO.1は実はカエルのエルタだと思っています。

「ピーターラビット第一集」(全3)ポター:作・石井桃子:訳
物語は実はなかなか読まれないピーター。このサイズがお家で読むにはほっこりなんです。

=追加=

「おつきさまこんばんは」林明子:作・福音館 

「パンどうぞ」彦坂有紀・もりといずみ:作・講談社 

高村さんの人生が反映されたような絵本のタイトルたち。
これを眺めただけでも、なんだか心が温かくなる思いでいます。

絵本の購入もネットで行えてしまう時代です。

その購入の判断が「間違いのないロングセラー」もしくは
「レビューや星の数」に左右されてしまっています。

ただ、ボクの個人的な考えだけど、
絵本ってそれだけじゃ選べないんだよなあ〜〜〜!です。

ちいさなお子さんに絵本を買い与えるのは親です。

子どもがつい手を伸ばしてしまう思いがけない絵本

お母さんの人生に添い続けてきた1冊

家族の歴史の代弁者となってくれるであろう1冊

そういったものとレビューの星の数って必ずしも一致するものでは無く、
高村さんのような目利きの方との信頼関係、
人と人、1対1の呼吸の中から手にできるものは、
やはり親子の間に確かな物語を生んでくれるって思うのです。

街の本屋さんがさらに失われてゆく中、
たとえばショッピングモールに併設された大手書店の本棚を見ると、
ネットの星の数が反映されたものになっているのに出会います。

それはそれで良いでしょう。

でも、やっぱそれだけじゃダメなんだよな〜〜〜
絵本。

こんな企画がちょっとでも心ある街の本屋さんの力になればいいなと。
震災なんていう事態から歩いてきた中で思い当たったのです。


絵本を送った先プランタンは、震災後に友人に紹介され、
これまで何度かワークショップを開催したりし、
ささやかだけど信頼関係を築いてこれたと思っています。

なにより、ここでの食事が美味しくて楽しくて、
そういったことこそこの店のボクへの信頼だったりします。

そんなプランタンは昨年メンバーに赤ちゃんが加わりました。

その成長と共に、
地域での子育て世代の心の拠り所になるであろうイメージのある場所でもあります。

被災地と呼ばれ過疎化も進む土地で、
豊かな表現の絵本があるからこそのささやかな親子の時間があること、
そこにボクは豊かな未来を想像しています。

ただ、こういったことが「ほどこし」で終わってはいけないなと。

ボクもこの文庫をプランタンと共に育てるつもりでいるし、
これからも唐桑のみなさんの友人でいられるよう、
ボクはボクの表現を真摯に重ねてゆかねばです。

そういった意味で「あすか文庫」はチャリティーではなく、
クリエイティブなアクションだと考えているのです。


プランタンの小山さんご一家は、
今回の文庫を恐縮されながらも喜んで受け取ってくださいました。

それをどうやってお客様に提供してゆくのか、
しっかり準備をした上で始めてゆくとのこと。

公開がきまりましたら、あらためてボクからもお伝えますね!

その前に行けたらいいな、唐桑のプランタン。

そしてなにより、ボクも高村さんに選んでいただける絵本を作るなくちゃだ!

85ヶ月め

2018 年 4 月 11 日 水曜日


今日は2011年3月11日から2,588日
369週5日
7年1ヶ月
85回めの11日です。

ちょっと報告が遅くなってしまいましたが、
peaceてぬぐい7刷りめが動いています。
https://www.facebook.com/peacetenugui/

これまで東日本大震災や熊本の震災の以降の現場をつないできたてぬぐい。

あれから7年の春の7刷りめでは、さらに一歩踏み込んだ発想を盛り込んでみました。

ひとつは、
震災以降懇意にさせてもらってきた塩釜で養殖漁を営む共栄丸水産さんの願い、
塩釜港から松島湾に至る海を万葉の歌人にも詠われた名前「千賀の浦」で呼ぶこと、
そのロマンチックな発想を後押ししたいと思いました。

やることはとてもシンプル。

てぬぐいに付けたポストカードに個人的な「海にまつわる幸せな思い出」を綴り、
共栄丸様付け”千賀の浦さん”宛に送ること。

peaceてぬぐいを管理運営してくださっているのは、
長崎県諫早市のオレンジスパイス

諫早湾の干拓事業で広範囲な海を失った町と、
東日本大震災の被害を受けた千賀の浦という海。

この2つの場所を一本のてぬぐいで結び、
それを頼りに1人ひとりの海の記憶が千賀の浦に注がれる。

この手紙を書くことには一切の見返りはありません。

ただ、このてぬぐいを手にし手紙を書く方の
人や海に対する想像力が働き続けてくれたらいいなと思います。

peaceてぬぐいに添えたポストカードの絵は、
1年間羽田空港でも見ることが出来ます。
http://www.yakuin-records.com/amigos/?p=13538

空の旅の直前で「あの絵は宮城県塩釜の”千賀の浦”って名前の美しい海だよ」
そんな会話が生まれたうれしいですし、
この絵がどんどん一人歩きし、千賀の浦にまつわる仕事をしてくれたら面白いなと、
これまでのイラストレーションのあり方を超えた発想を働かせてみるつもりです。

今回のpeaceてぬぐいにはもうひとつのストーリーを添えています。

気仙沼唐桑でプランタンという喫茶を営む一家に加わった
小さな仲間をめぐるささやかな日常の描写です。

「被災地」「被災者」というワードで語らなければならない事態は、
現在もどうしようもなく存在することです。

それでも「なんでも無い日々」を語ることは、
明日を確かに迎えるための力になるはず。

もしこれから「被災地」と呼ばれる土地に行かれる方がありましたら、
その視線の何割かは、
奇跡的にそこにある「なんでも無い日々」に注いでもらえたらいいなと思います。

プランタンさんには、
震災以降青山のHADEN BOOKS の林下さんとヴァイオリニストの金子飛鳥さんとボクとで続けてきた、
「本・つながる・未来」というプロジェクトの7年めの最初の一歩として、
絵本をお届けすることを進めています。

詳細はあらためてお伝えしますが、
小さな命の生まれた場所が、地域の子育て中の家族の拠点と育ってゆくことを想像し、
子どもたちが未来を生きてゆくための心の免疫力を高められるような、
豊かな物語を届けたいと思っています。

父が亡くなった後、いろいろやらなくちゃならないことがあって、
時間を見つけては群馬に行っています。

先日は父の入院していた病院へ医療費を払いに、
駅から伊勢崎市を流れる粕川に沿って歩いてゆきました。

季節が2歩3歩と進んだ土手にあがると、
菜の花の咲く粕川の風景に「おお」と声が漏れました。

全国的に有名な場所では無く、観光案内で語られることも無い、
なんでもない河原の風景がこれほど美しいものかと。

父をケアし、わずかだったけど共に過ごした時は、
ボクにこんな風景を見せてくれたんだと思いました。


粕川の河原では、関東地方では目にすることのなかった
白い花のタンポポに出会いました。

西日本に自生してきた日本の固有種のタンポポ。
気候の変化でこちらでも咲くようになんたんだろうか?

ただ、この花に気づくことが出来たのは、
去年の春に熊本で生まれて初めてこの白い花に出会えていたからこそ。

一昨年の熊本の震災発生以降、熊本での人との確かな出会いがあり、
その経験はボクの視線を熊本城にも、街を歩く足元にも届くものにしてくれました。

粕川を遡ってゆくと、父の生まれ育った、ボクも生まれ育った旧粕川村、
現在の前橋市粕川町にいたります。

粕川に沿って赤城山に向かい細長くなだらかに連なる町です。
春の暖かさに包まれた田舎の風景の中、
父の気配を感じられるであろう場所を走って回ってみました。

この季節のタンポポは、地面にへばりつくようにして花を咲かせているんだ。
そんな発見。

冷たく強い風の吹く冬の群馬で、
地面いっぱいに葉を広げて陽の光をなるべくたくさん浴びようとするタンポポ。

花の咲く季節もまだ頭を低くして風をやり過ごし、
しかし、周りに背の高い草が伸び始めると、
タンポポも花の茎を虫たちを呼び寄せるのに必要なだけ伸ばす。

そうしてその環境の必然に合わせてその立ち姿を変え、
しかし、綿毛を遠くに飛ばすその時が来たら、
一気にその茎を伸ばし綿毛を風の中に突き出す。

こんなことに心を奪われるのは、
3月11日以降の東北の各地を歩き出会った人から、
身をもって感じさせていただいたものがあるから。


そして今、
父の不在が見せてくれた故郷の風景は、
たとえば、あまりにも当たり前のはずの「田んぼの風景」は、
実は放っておいたら失われてしまう「棚田の風景」であったことに気づき、


2018年4月はもう2度と出会うことが無いんだってことに気づく。

美しい風景との出会いは、
人との出会いと別れがあってこそのボクです。

父の喪失を経験し、
あらためて2011年3月11日のこと、
12日のこと、
13日のこと、
14日のこと、
15日のこと、

そこを生きた1人ひとりのことを想像するも、
いまだに想像力が追いついていないことに気がつく、
あれから7年めの春のボクです。

ただ、今なにが必要とされているのか、
ボクであればなにを描けば良いのか、
7年の出会いと喪失の分だけ明快になっているボクでもあります。

自分が出来ることを、
それを必要とする顔の見える1人へ。

そんな基本をもって生きて行こうと、
あらためて心に念じた2018年春。

もっと絵を描きてー!!

です。

84ヶ月め

2018 年 3 月 10 日 土曜日


今日は2011年3月11日から2,557日
365週2日
7年
84回めの11日です。

そうタイプしているのは実は前日、2018年3月10日
今は入院中の父のベッドサイドにいます。

未曾有と呼ばれた悲劇から7年。

何千、何万という命が失われた悲劇を目の前に、
ボクの無力感は今も無くなることはなく、
しかし、自分の出来ることは「ひとり」と向き合うことだと考え、
出来ることをやってきた先での今でもあります。

そして今は父と向き合っています。

今日は若かりし頃の父が建てた家が消失した日から25年め3月10日。

明日はあれから7年の3月11日。

思うことが次から次へと押し寄せてきましが、
今は静かな気持ちであろうと、
iPhoneでヴェートベンの「月光」を流して
父と聞いています。