2016 年 9 月 のアーカイブ

「アルテリ」二号

2016 年 9 月 24 日 土曜日

r0019636
熊本の橙書店店主田尻久子さん編集の文芸誌(!)「アルテリ」第二号
10冊購入してきました。

表紙は黒田征太郎さん。
執筆陣は石牟礼道子さん、伊藤弘美さん、
坂口恭平さん、平松洋子さんなどなど。

今年の4月のはじめに1号を手にして、
その内容の確かさに深く共感した雑誌です。

その直後、熊本は震災に遭います。

そうして今回発行された第二号は、
書き手の意志を尊重し編集されるも、
自然と「地震特集」であることも内包した一冊になっている。

これは編集の責任を負う田尻さんの言葉です。

r0019634

震災の混乱の中、
橙書店とカフェorangeの移転にも取り組む中での編集作業は、
「大変」なんて言葉を簡単に使って語ってはいけない重みがあります。

でも、だからこそ、本誌に綴られた田尻さんご自身が語る「震災」は
ひとりの確かなサイズを感じさせるものであり、
重きを語るも、自由の翼は軽やかに羽ばたき、軽やかでさえあってね。

東日本大震災以降の混迷の世に置かれている人に出会ってもらいたいなと、
これを必要とする人のところに届けてゆこうと思っています。

イラストレーション池袋セッション season4

2016 年 9 月 24 日 土曜日

r0019623
池袋コミュニティーカレッジで開講の「イラストレーションクラブ」は、
毎月第2第4木曜日18時スタートのワークショップスタイルの講座ですが、
個人的に「池袋セッション」と呼んでいる絵の実験スタジオになっています。

先日9月22日は半年単位で区切られてるシーズン3の最終日。

10月13日からシーズン4スタートとなりますので、
参加希望の方は下記リンクより事務局まで申し込まれるか、
体験受講も逐次受け付けますので、お気軽に参加ください。
http://cul.7cn.co.jp/programs/program_701881.html

以下、ここ2回のレポート。
r0019460
9月8日は「和音と色」

息子の夏休みの自由研究でやった
音を聞きイメージする色を塗る」試みがとても面白くて、

もっとも、
このアイデアは池袋でのセッションの中で思いついたものだったので、
池袋セッション参加者ともやってみたいなと、
r0019455
5種類の楽器の音で「ド」の単音から始め、
「ドとレ」「ドとミ」と7種類の2声の和音を聞き色を想像する作業。

制約があるからこそ
1人ひとりの自由な発想が明快に感じられたし、
1人ひとりの心の深い部分まで可視化できたような、

r0019456

それでいて、
他者との「同質」な部分にヨロコビを見つけたり、

個性というものをあらゆる角度から見るチャンスを得た、
とても新鮮な試みになりました。

みんな楽しそうに筆を進めていたようで、
終わった瞬間に「つかれた〜」と、

この作業、心のどこの部分を使うんだろ?

ともかく、みんなが描いたシンプルな色のシミ、
その愛しさがたまらない「色彩の音符」が生まれました。

そして、
9月22日は持ち合わせていた110cm×3メートルの画用紙に、
参加者全員でセーノで筆を走らせてみました。
r0019605

この日のボクは昼前に熊本市内で子どもたちとデカイ絵を描いていたので、
池袋に集うオトナちゃんの自由度を確認してみたくなったかもね。

季節の変わり目で体調崩す人続出、、
いつもの3分の2ほどの参加者でのセッション。

で、
いつも以上に筆を振るったボク。
昼間の子どもから受けた影響を池袋でアウトプットするという大人気なさ!

「いつものメンバー」でやってきたこと、
ちょっとぶっ壊しておきたい気分もあったかもね。

1人ひとりの思惑が壊されてゆき、
しかし、すぐに創造の芽は芽吹いてくる。

大きな構図は切り刻まれ再構築、
複雑な構造を持った、
しかし結果シンプルな構図に育って完成。

r0019624

みんなほんと発想が柔軟になってきた。

そうやって生まれたものは、
一瞬は混沌としたものに見えるのだけど、
いやいや、向き合えば向き合うほど
どうにも愛しいものに育ってゆく。

そして、あらためて細部に視線を落とし「発見」
r0019610

ひとりの思惑が破壊された中から
「美しさ」や「おかしさ」「面白さ」などなど
構図と共に発見。

r0019616

「稚拙」で「揺れ」てて「うつろで」
そんな中にもキリッとしたものが生きていることを発見。

r0019615

濁った水でも、空の青さや人の心の美しさを映すことはあるね。
そんなこんなを発見、発見。

それは描くことと並行して取り組んでゆかねばならない作業。
めんどくさいけど、とても楽しく、豊かなことでもあるなあ〜。

で、
出来上がったこの絵、どうしよう?

と、
今回を区切りに建築の世界に踏み出すことを決めたIさんの
卒業証書として持って帰ってもらうことにしました。

迷惑だったかな?

でも、次の現場でも自分らしく。

こんがらがるようなことがあれば、
ここを思い出してもらいたいし、
またいつでも戻っておいで〜!
だしね。

まずは元気で!
peace!!

「とうだい」生まれました

2016 年 9 月 15 日 木曜日

r0019507
とうだい」美しく仕上がり本日発売になりました。
みなさまぜひお手に取り、とうだい君に出会ってください。

「とうだい」

昨晩はTISの企画の中で20冊を手渡しで販売しました。

そんな売り方がとてもうれしく思える「もの」です。

お買い上げくださっったみなさん、
末長くとうだいを宜しくお願いいたします。

今朝は息子の小学校のクラスと、卒園した保育園、
カミさんの勤める保育園へと旅立たせた「とうだい」
14355755_1097363853650426_8232244130210113496_n

半年前までは息子と歩いていた朝の保育園までの道で、
震災の次の日に書いたブログのことを思い出しました。

「灯」

震災直後からずっと同じことを繰り返し語り続け、絵を描き、
少なからずの必然をもって「とうだい」の原作に出会えたんだと思います。

2011年3月11日以前の10年は、
ほんと良く日本のローカルをめぐり続けた10年でした。

その10年は、その土地になくてはならない、
それこそ灯台のような人との出会いの10年。

そんな1人ひとりは「名もなき善意のひとり」であり、
ボクのようにフラフラ歩きまわることもせず、
その場所で真摯に仕事に取り組み続ける人です。

だからボクは安心して旅を続けられ、
うん、ずいぶんと甘えさせてもらってたはず。

ではボクはなにが出来るんだろうか?

絵は、イラストレーションは、
どんなことが出来るんだろう?

東日本で起きた悲劇は、
否応無くそんな命題を突きつけてくるものでした。

福岡薬院あたりの人たち
大阪の船場や北堀江で出会った人たち
京都の北の方で志の場所を営む人
熊本の小さな本屋
諫早の元気な雑貨カフェ
那須で一杯のコーヒーに命をささげる人たち
山口でひーこら言いなが営むライブハウス
青森のじょっぱりな店主が営む茶葉店
八重山の島で生きることを決めた人
大分の森に暮らす一家
今はもう失われてしまった場所もあるけれど、
そんな心の灯台の灯を頼りに迷わず歩けた先で、
今は気仙沼唐桑の小さな灯台のような店にも出会い、
近所のコーヒー屋やパン屋やなんかと同じ空を見て、
保育園や学校なんてものに再会したり、

そこで出会った1人ひとりを思い、
どうしようもなく自分らしいものを作れた。

そういうことです。

66ヶ月め

2016 年 9 月 11 日 日曜日

%e8%b1%8a%e9%96%93%e3%81%ae%e5%b1%b1%e7%99%be%e5%90%882016_72
今日は2011年3月11日から2011日め
5年6ヶ月
66回目の11日です。

今年の夏は週末ごとに子どもたちと遊ぶイベントを開催したことで、
ともかくバタバタあっと言う間に過ぎてしまいました。

そんなわけで、
8月の半ばに東北を巡ったことを振り返えらずにもはや9月。
遅ればせながらちょっとずつ言葉にしてゆこうと思います。

r0018615
8月12日
まずはいつもの場所、福島県いわき市の豊間のビーチ。

いわき市の「高久」の田園地帯から太平洋岸に抜け、
新舞子ビーチから塩屋埼の灯台、そして豊間まで、
今年は15kmのランニングのフィールドワークになりました。

r0018619
以前から比べると休耕地がグッと減った田園の風景。
豊かに実った稲穂は太平洋からの風に吹かれ
まるで海のように波打っていました。

その先、津波被害で荒れたままの印象だった場所には、
新たに立派なグランドが造られていて、
この日は少年野球の声が元気に響いていました。
r0018650

豊かな実りを見せる田んぼの風景。
そして湧き上がる子どもたちの声。

去年までは孤独のみがボクの伴走者のように思えた土地も、
今年は確かな夏の盛りの中にあるように思いました。

ビーチに出ると遠くの台風の影響を感じる波。
これまでで一番「太平洋」を感じた福島の海です。
r0018662

津波の被害を思うと、
毎回少なからずの恐怖が湧いてくる海の風景も、
さっき聞いた子供達の声は恐怖の意味を書き換えてくれ、
これまでより一歩海に近づくマインドを後押ししてくれました。
r0018668

集落を抜ける坂を登り、切り通しの道を行くと、

!?

切り通しを形作っていなければならないはずの山がひとつ、
失われている、、
r0018681

そして、
切り通しだった道を抜けると

月面
r0018688

去年来て見た時も驚いたはずの風景だけど、
去年以上に「ああー、」と声が出てしまった風景。

切り通しの山だけでなく、
その先のいくつかの山が失われ「高台」に生まれ変わっている土地。

何度も歩いた場所だけど、
人類が初めて歩いた月面のイメージのようだ。

津波で失われた直後に歩いた時、
同じく「月面」という言葉がこぼれてきたのだけれど、
その言葉の質は、今は上手く説明出来ないけれど、
ともかく異質なものであるはずです。

r0018691
高台の鎮守様から街だった場所を俯瞰してみても、
まったく想像力が追いつかず、
しょうがない、なにかの歌を大声でうたうしかなかったボクです。

r0018696
復興の青写真が記された掲示板を見てみると、
なるほど、これはこれで理にかなった計画なんだと納得は「出来た」けど、

今は混乱している自分を受け入れ、
この先出会うべくして出会うものに一々驚いてゆけばいいんだと、
自分に言い聞かせながら走ってゆきました。

あらためて、
ボクは今も東日本大震災の混乱の中にあるのです。

そんな風景の先に所在なさげに見える一本の灯台。
r0018683

いつも以上に「あの灯台に近づかなくちゃ」て気持ちが強く働きます。

塩屋埼の灯台の足元には、
去年までよりずっと多くの人が集い、
太平洋に触れていました。
r0018702

視線を転じれば、未だ子供達の声が戻っていない土地なんだけど、
「とうだいくん、キミはあれから5年たってもここに居てくれてるんだ」
そんな安堵感とともに親近感が深まった5年めの夏。

この感じ、
ほかの土地では置き換えられる「なにか」があるのだろうか?

「被災」というキーワード抜きにしても、
これから足を運ぶ土地ごとに確認してゆきたいことだと思ったし、

この土地に子どもの声が返ってくる日があるのなら、
それまで通い続けてみなくっちゃと、
東京オリンピックも終えた5年後、
震災から10年の2021年の方を見ながら確信的に思いました。

さらに切通しをひとつ抜けると豊間のビーチ。
r0018726

2011年6月11日に初めてこの海に出会ってから、
何度も足を運んできた5年目の夏の豊間。

美しかったなあ〜
r0018752

r0018754

あらたに建造された防潮堤は、
以前より長い影をビーチに落とすようになっていたけれど、
そこからわずか2~3度視線を海や空に振れば、

なんだろ、太平洋って。

なんだろ、この空やこの風って。

r0018757
何度も見たはずの風景だけど、
そこには答えは埋まっていなくて、
もちろん正解なんてものも無くて、

もし答えらしきものが必要であれば、
日々1人ひとりが自身の中から掘り出してゆくしかなく、

この美しい風景は圧倒的な懐の深さでもって、
それを愛する1人ひとりに想像の余地を与え隣り合わせてくれてるんだ。

5年通って初めて出会えたそんな考え。
r0018790

あらためて、この土地を愛し、ここに暮らした人たちのことを思い、
しかし、やはり自分の想像力の乏しさを知り、
「また来ます」と心の中でつぶやいた夕暮れ時の豊間のビーチ。
r0018824

小学四年生の男の子がお母さんに教えられサーフィンをする姿が、
どうにもエレガントで美しいものだと思えてね〜、
しばらく、帰りのバスの時間いっぱいで見ていました。
r0018825

初めて豊間に行った2011年6月11日には、
鉄骨だけ残った店舗で「根性営業」をしていたセブンイレブン。

その後店舗を再建し、
この地域の復興の「灯台」のような存在でいたはずだけど、

8月末にこの場所での営業を終え、
200メートルほど南に移転し、新店舗での営業に切り変えるとのこと。
r0018788

それがどんなことなのか?
どんな風景を見せるのか?

うん、またこの場所に来て確認してみよう。

この日は初めていわき市内で一泊。
なにげなく入った焼き鳥屋がとても良くてね〜
r0018840

居合わせたお客さんやお店の方となんやかや言葉を交わし、
自然と震災の話なども浮上してくるけれど、
それ以上に、この人たち好きだなと。
(もちろん福島の酒が美味い!!)

ほんんとこれからもゆっくりジックリおつきあいしてゆきたいと思った街、
そして、いわきの人たちです。
r0018859

あくる日ボクさらに北を目指しますが、
ちょっと長くなってしまうので、その辺はあらためて。

個人的な話になりますが、
9月15日に福音館から上梓される「とうだい」という絵本の作画を担当しました。
160719_TOUDAICOVER

3年前に編集者がボクの展覧会「東日本」に足を運んでくださり、
このテーマにぴったりだということでご指名を受けました。

それ以前もそれ以後も豊間にや塩屋埼に通いインスパイヤされたことが、
絵に反映されている絵本です。
160630_toudai_fx

2011年3月11日に出会ったことは、
ボクを大した目的も持たず東北沿岸部に跳ね飛ばしてゆきましたが、

そこでの経験が少なからず反映されたものが作れたこと、
本当にうれしく思うとともに、

この作品に出会う方がなにを感じ思うのかを丁寧に受け止め、
次に作るものがさらに確かなものになるよう取り組んでゆけたらと願います。

9月22日熊本でワークショップ

2016 年 9 月 10 日 土曜日

%e7%86%8a%e6%9c%ac%e3%81%bb%e3%81%a3%e3%81%a8%e3%81%b2%e3%81%a8%e3%81%84%e3%81%8d%e3%83%90%e3%83%8a%e3%83%bc
9月22日に熊本市内で「だれでも絵が描けるワークショップ」開催します。

熊本の震災以降、志をもって子どもたちや親御さんたちのメンタルケアに努める、
ボクよりグッと若い世代のみなさんの企画のお手伝いです。

子どもたちと一緒に絵を描く時の先で生まれるオープンな空気の中、
抑えてしまって良いはずの無い思いや感情を言葉することができたらですね!

パパママ子どものための「ほっとひといきティータイムセッション」
・平成28年9月22日(木・祝)
熊本市国際交流会館地下2階 多目的ルーム
・10:00~12:00
・参加費無料

お子さんのこと、震災後気になること、毎日の生活の中のちょっとした悩みまで、
みんなで気楽に話し合える時間です。
臨床発達心理士の上村宏樹さんを囲む会話の時。どうぞお気兼ねなくご参加ください

 9:45~ 受付開始。参加費無料、予約は下記を参照ください。

10:00~ 小池アミイゴの誰でも絵が描けるワークショップ
    小さなお子さんからじーちゃんばーちゃんまでウエルカムな絵の時間。
   ・画材等こちらで準備します・汚れても良いオシャレで参加ください。

10:30~ 上村宏樹さんとのお話しタイム
    みなさんの悩みに臨床発達心理士の上村さんがお答えします。
    スタッフ自慢のハーブティーと共に会話を楽しまれてください。

11:30~ 若木美保さんのキッズヨガ
    3歳から7歳が対象のリラックスタイム、みんなで楽しみましょう!

予約:「熊本市国際交流振興事業団」担当:伊藤宛にメールか電話で
・お名前・参加人数・お子さんの人数と年齢をお伝えの上、
メールの場合は「9/22予約」のタイトルで送付ください。

電話:096-359-2121
メール:pj-info@kumamoto-if.or.jp
   
主催:(一財)熊本市国際交流新興事業団
共催:子どもと家族・こころのサポートプロジェクト熊本

=熊本市国際交流会館=
熊本県熊本市中央区花畑町4−18
096-359-2020

*今年7月に熊本で開催したふたつのワークショップについて、
以下のリンクで感じたことなど言葉にしてあります。

熊本でのふたつのワークショップ

今回の開催に至る話をちょっと。

熊本の震災後にボクがネット上にアップしたフリー素材のイラストレーションを、
この企画の主催者のひとりである伊藤さんがボクにお声掛けの上ご利用くださり、
7月にメンタルケアのイベントを開催。
7-9%e3%83%81%e3%83%a9%e3%82%b7-2

同様の企画を継続的に開催してゆく上で、
「子どもたちと絵を描くようなことをやりたい」との相談を受け、
ならば一度ボクがやってみますと、今回の参加になりました。

その内容を詰める作業の中、
「誰が誰に向けてなにを開催するのか」がちょっと分かりずらかったので、

伝えるべき一番重要な部分がシンプルに伝わるよう
フライヤー等のビジュアルを刷新し、(ある意味、自分の絵を否定したわけですが、)
使用する言葉もより伝わるよう整理し、イベントの間口を広げてみました。

%e7%86%8a%e6%9c%ac%e3%81%bb%e3%81%a3%e3%81%a8%e3%81%b2%e3%81%a8%e3%81%84%e3%81%8d%e3%83%95%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%a4%e3%83%bc_72

これが正解かどうかは、これからの広報活動にもよるし、
なんだか偉そうに作業を進めてきた自分に不安を感じたりもするのですが、

それでも、
もしかしたら熊本まで行って子どもたちと一緒に絵を描くってこと以上に、
イラストレーターの経験を生かし、こんなコミュニケーションを熊本の方と出来た、
そんなことに意味があるんじゃないか?
もしくは、意味あるものに育ててゆかねばならないなあ〜と。

こういうことこそ「東日本」に落とし込んでゆきたい作業だなあと再確認しつつ、

これから先、あらためて謙虚さを持って9月22日を迎え、
現場で熊本の子どもたちと向き合ったら、
まあ、負けねーぞ!!
ですねっ!

では、みなさん、9月22日、熊本で〜!!

「夏目漱石展」参加

2016 年 9 月 6 日 火曜日

R0018065
東京大学本郷キャンパスの「三四郎池」を描きました。

9月6日から銀座G8ギャラリーで開催のTISの展覧会
「158人の漱石 百年後ノ吾輩、こゝろ、それから……」に出品します。
*展覧会詳細> http://bit.ly/2bNh4bn

文京区本駒込に住んでいた頃、
毎日の散歩道はそのまま漱石の足跡をたどるようなコースでした。

ある時思い立って「三四郎」を読み返して、
司馬遼太郎さんの「街道をゆく~本郷辺り」なんてのも読みふけり、
「三四郎」に出てくる地名を歩き倒したことがあったけど、
漱石の文体ってそのままフィジカルに直結した快感があるなと。

坂の高低や足の裏から伝わるもの、
季節ごとに変わる風とか気温とか、
「三四郎」の世界と擦り合わせて歩いてゆくと、
人が自分の足で歩いていた時代に自然とタイムスリップ。

バブルから渋谷系に至る喧騒と狂乱の時。

こう見えてボクは、
実に静かな時を本郷あたりを歩きながら過ごし、
その経験の多くを持ち越して今に至る。です。

まあこれはボクの成分の2分の1についての話。

何度も足を運んだ三四郎池だけど、
今回数年ぶりに行ってみたら、まったく違う印象。

そう言えば20数年ぶりに読んだ「三四郎」
こんなに可笑しな話だったっけ!?とかね、

時を重ねた先でじわり感じるもの、
思いっきり楽しみながら描きました。

14日夜は18:30~20:30でギャラリー滞在。
「夜店」と名付けられたTISの作家さんたちによるフリマに参加します。

ここでボクは新作の絵本を正式な発表より1日早く販売。
これ、ぜひ来てもらいたいです!

そんなこんなの詳細は後ほど〜

これでいいのだ。

2016 年 9 月 6 日 火曜日

IMG_0311
9月3日土曜日「よよギげんキーセッション」開催しました。

子どもとの時間、こんな感じで何度も創ってきたけど、
歴代サイコーにイキ切ってしまった今回。

子どもや地域に向き合うための基準、
思いっきり高くなったように感じています。

そして、
今回のことをキレイにまとめてしまわによう先に言ってしまいます。

今回ボクは、はじめて子どもたちに負けました。

それはひとつ爽快な経験であった、かも、しれないし、
そこを認めなければ次も未来も創れない。

そんな思いでいます。

R0019409

代々木上原のhakoギャラリー一杯に集まってくれた子どもたち、
その親御さんたち。

ワークショップ開始30分前を受付開始としたけど、
そこからの30分の間で、もはや子どもたちがコミュニティーを形成。

ワークショップスタート時点でマインドにもフィジカルにも火がついてる状態。

ドローイングからペインティング、そして破壊へのテンポが速い、速い。

一瞬一瞬で変化する絵の風景にボクの思考はなんとか食らいつくも、
「会場を汚す」というリアルに対する思考が膨らんできて、
結果、子どもたちとの表現のチキンレースに惜敗。

いや、一瞬一瞬での絵の変化、素晴らしかったなあ〜!

が、しかし、
3面用意したキャンバスの1枚はぐじゃぐじゃに破壊され、
残りに2面は、それぞれ例えようの無い美しさの色面が生まれた!
と思ったら、わるい子の最後のひと暴れで、、、

つか、絵の上で泳いでる子どもたち、
もしくは、絵を描きながら「きもちいいー!」と叫んでる子どもたち、
はじめて見たよ。

まだまだ自分の中にも「子どもとはこういうもの」というリミッターが残ってた。

うん、俺の負けだ。

R0019420

その後の「ちんどん道ジュネー」と名付けたパレード、
そこでの絵の具まみれの子どもたち、
なんていい目つきしてんだ!ってね。

東京の子
渋谷の子
代々木の子
笹塚の子
ちょっと遠くからやってきた子

それぞれがもはやそれぞれの土地の「雰囲気」をまとっているのだけど、
そのボーダーをきっちり破壊し、孤独に限りなく近い個性を爆発させたのは、
紛れもなく子どもたちだった。

野蛮でセクシー

今まで東京で見てきた子どもたちの風景の中で、
一番かっこ良かったよ。

R0019417

あらためて、

4月にhakoギャラリーさんから「子どもの集まるイベント」をお願いされ、

息子の小学校入学から見える社会の必然を追いかけ、

焦ることなく自分の思考を整理してゆき、

ちんどんのさとうゆみさんを招き入れたことで踏ん張ることの出来る足場を見て、

あとは着地点を確認することなくぶっ飛んだ時間。

結果、

hakoギャラリーはハードコアギャラリーに姿を変え、

ボクは子どもたちとの表現のチキンレースに打ち負かされ、

そこで何かを掴んだ(何かから解き放たれた)奴らめ、
実にいい目をして代々木の街を練り歩く。

そんな子どもたちの姿に目をほそめる人もいれば、
「なんじゃこりゃ?」と怪訝な視線を送る人もいた。

が、

おかげでオトナたち、普段交わせない言葉を交換。

何発子どもたちに殴られたか?は、
何発子どもを蹴り飛ばしたかと共に忘れたが、

9・03ハッピーテロ

この日東京の子どもたちの発したギラギラのエネルギーに
出会ったか、出会わなかったか、

それで世界の見え方は大きく違ってきそうだ。

こういうことを検証し、メソッド化し、
権威やお金に変えことが出来る人もいるんだろうけど、

ボクは「街のあぶないおじさん」でいいのだ。

5年前に東日本大震災というものがあって、
今、まずはやるべきことひとつやった。
そんな実感もコロリ転がり落ちてきたよ。

で、
壮絶なる絵の具地獄の果て、
子どもたちのそのパパママとがコラボしたお面、
すべてが傑作という奇跡を生んだ時間でもあったのです。

14233372_1422490931098507_966734217_o

セッションを通して響いた
絵の具まみれの子どもたちから親への「ねえ、見て、見て〜!」という叫び。

のち、
「オトナはあっちに行っといてー!」という自立の叫び。

ロックンロールはこんなして生まれるんだろう。

そしてオトナ、
試されるなあ〜

2016
0903
PEACE!!