2017 年 4 月 のアーカイブ

つなぎ美術館、明日初日。

2017 年 4 月 29 日 土曜日


明日4月29日初日です。

熊本の葦北郡津奈木町のつなぎ美術館での人生最大展
「東日本から熊本へ 3月11日から始めたこと」
http://bit.ly/2ptzKA5

13:30よりギャラリートーク無料で開催します。
入館料オトナ300円お願いします。

つなぎ美術館の展覧会に向けては、思わず95点の絵を送りつけ、
配達時の宅配業者が「これ、絵ですよね、、」とビビってたそうです。

で、結果88点の作品を展示しております。

軽く狂気が入っているなと思いつつ、
会場はスタッフの皆さんのお力添えのもと、
実に端正で伸びやかな展覧会に仕上がりました!

88点の作品が詰まっていても、
これはやはり「東日本」というひとつの作品でもあるんだと、
広がりを感じる88点の絵が構成する構図の中でそう思います。

そして、 

美術館にあるまじき「撮影OK」にしてもらいました。

もちろん周りの方のご迷惑ならぬようお心がけのほど、
名も無きその辺の跳ねっ返りイラストレーターの展覧会、
どうぞみなさんのお力添えで盛り上げてやってくださいませ。

あらためて、美術館。
そこに通底する美術館マナーは、
ボクの描いたものにプラスアルファの輝きを与えてくれるようです。

だからこそ、設営を終えた後に見た津奈木や水俣の美しさに、
心から悔しさを感じてしまう。

まだなにも描けてないぞーっ!ばかやろーーー!!!と
日没直後の不知火の海に無言で叫んでいたおセンチおじちゃんは、
俺です。

明日からの2ヶ月半。
そのほとんどは東京に在って、次を描くはず。
つなぎ美術館には「あれから6年」のボクの時を、
思いっきり磨きをかけて置いておきます。

みなさん1人ひとりの時が、
ボクの6年のどこかと共鳴してくれたらいいな。

大切なのは絵じゃなくて、絵を見てくれる1人ひとりの人生。

臭いようなこと言って馬鹿みたいに聞こえるだろうけど、
「東日本」という場所で見て感じてきたことは、
すべてそこに集約されます。

で、
みなさんそれぞれの言葉で会話の花の咲く展覧会であってもらいたいです。
熊本県葦北郡津奈木町岩城のつなぎ美術館。

そこに並ぶすべての地名が美しい場所。

うん!
遠方より「わざわざ」足を運んでくださっても、
だいじょうぶ!!

そう言える展覧会を創りましたので、
ほんと、みんなゆっくり楽しんでくれたらです。

「セツブレンド」

2017 年 4 月 23 日 日曜日


15年くらい前になにかの雑誌に寄稿した「セツブレンド」というカフェを巡るエッセイ。
細部を手直しして掲載してみます。
写真は2015年11月10日。
「めぐみめぐる」という展覧会初日の朝、ランニングでタンバリンギャラリーに向かう途中で撮影。

『セツブレンド』

午前11時
「ガガガガ ガ ガー」とミルの働く音が聞える

午前11時15分 
鳴らされる鐘の音
3階のアトリエまで登ってきたコーヒーのにおい

季節は5月にしておく

ボクらは痩せっぽちのモデルから視線を外し
親指と人差し指と中指の間で火照った鉛筆を置く

2階のロビーへ

人とすれ違うのがやっとの階段は建物の西側にあり
窓に中庭の大きなポプラの樹が演出する木漏れ日が差すのは
午後1時を過ぎたころから

セツモードセミナーはまだ春の名残の朝の冷ややかさの中にある

階段は最後の4歩で右にカーブ
その先にコーヒーに並ぶ人の姿が見える

デッサンの合間に置かれた30分のコーヒーブレイク

コーヒー  100円
カフェオレ 100円

その隣りには
『下品な缶コーヒーはセツに持ち込まないでください』
と書かれた張り紙が見える

セツモードセミナーの通称『セツブレンド』

長沢節が「コレ」と指定したブレンド
長沢節が「コレ」と指定した深めの焙煎

両手の平で包んで余るくらいの大振りなミル
30センチの背丈のホーローのポットに移されたお湯
手鍋イッパイに温められたミルク

白髪のH先生の淹れた一杯がボクのお気に入り

バイトちゃんの落としたヤツはマズくて飲めたもんじゃない

コーヒーは人なんだと知る

ロビーは吹き抜けのギャラリーになっていて
大きくL字にとられた2階フロアの手すりはヒザほどの高さしかなく
『そこに座って足を投げ出すのがセクシー』とは長沢節の目論み

ボクらはそんなワルダクミとは関係無く
ひとりとひとりの心地よい距離を保ちながらコーヒーを口にする

ボクはロビーから外へ

中庭にはザクッと植えられた草花が野草のような顔をして
どこかから降ってくる初夏の風に煽られ揺れている

その影だか光だかがセツモードセミナーの壁の白さに揺らめいて
ボクらの揺らめく孤独と共鳴したり相反したりを繰り返す

そんな曖昧たる輝きに目を細め
珈琲をまたひと口

揺らめくボクら1人ひとりの孤独は珈琲の苦さと甘さに支えられ
確かな像を結び、かける。

ボクらは孤独であることを好ましいものとして受け入れ始めている

孤独でなければ気づくことのできぬ自分以外の孤独があることを
一杯の珈琲が教えてくれている

30分は30分のまま
再び鳴らされた鐘の音にかき消され
ボクらは30分前よりきっちり孤独になって
痩せっぽちなモデルの前に立ち
再びその痩せっぽちな線を追った

「弱いから好き」

1999年6月
長沢節はボクらにそんな言葉を残して逝く

ボクらはそんな言葉と引き替えに
100円のセツブレンドを失った

「イラストレーション」N0.216

2017 年 4 月 17 日 月曜日


4月18日玄光社より発売のイラストレーション専門誌「イラストレーション」N0.216にて、
8ページにわたってボクの「東日本」としての活動の一部を紹介してもらっています。

「紹介してもらている」と言うと、
「取材され」「記事になった」というイメージかもしれませんが、

ボクは確かにインタビューを受け、それに答えるのですが、
そこから先、担当の編集者とディスカッションを重ね、お互いの考えの生合成を見た上で、
今の社会や人に必要なものはなんであるか?なんてことを確認し、世に問う記事になったはず。

今は既存の価値観を啓蒙的に伝えるものより、
なにかひとつ美しい価値を持つものが、
それに触れる人のマインドを刺激し、
それを中心としたコミュニケーションの輪が生まれ、
コミュニティで必要とされる価値あるものを形成してゆく。

そんなものが必要とされているはずだと思っているし、
そんな考えのもとに描く「東日本」のシリーズであります。

編集担当Oさん。
そんなボクの考えに根気よくお付き合いくださり、
ボクの混乱した考えを整理してくれ、
場合によっては言語化の手助けもしてくださり、
先日の岩手県宮古での展覧会やワークショップに帯同までしてくれた上で、
渾身の筆を振るってこさえてくれた熱い8ページ。

ボクのなにかを紹介してくれたページである以上に、
ボクに新鮮な風を吹き込んでくれたページであり、

編集者であり、また人間でもある若き彼女の
明日への一歩のページにもなっているはずです。

ぜひこの8ページに触れ、
心にヤケドしちゃってくださいね〜!

ほーんといい記事!!

玄光社「イラストレーション」
http://www.genkosha.co.jp/il/

はるのおがわプレーパーク

2017 年 4 月 16 日 日曜日


渋谷区の代々木公園わき”はるのおがわプレーパーク“の道具小屋の壁面アート完成!

渋谷区にあって、思いっきり泥んこになって遊べる公園”はるプレ”

3月11日に渋谷区のわるい子のみんなと描いた10mの絵は、

道具小屋の野蛮にしてセクシーな美しさの壁として生きてゆくことになりました。

実はここまで”はるプレ”スタッフが2度にわたりレイアウトしてくれたのだけど、
それはみんなで描いた絵を「作品」として大切に扱ってくれたもので、
しかし「道具小屋」という建物としてのエッジは緩くなってしまうわけで、

街で機能するものとして昇華してこそ、関わったみんなが誇りに思えるはずだと、
最後の仕上げに参加させてもらいました。

子どもとのワークショップを何度も繰り返してきた中、
やっと街で生きるものに行き着けたウレシい現場!

ここまで絶大なる情熱を注いでくれた”はるプレ “ファンキースタッフのみなさん、
ありがとう!

絵を描いたみんなー!
超カッコいいもの生まれてよかったね!!

街のみなさん、このプリミティブに美しい壁、楽しんでくださいね〜!

1年

2017 年 4 月 14 日 金曜日


熊本大分地震から1年。

先日、去年7月に益城町で見たコスモスを描きました。

ただ、
描いている最中にテレビで浅田真央さんの引退会見をやっていて、
かなり気持ちを引っ張られたかもな仕上がり。

こういう絵は画面上で描いては潰しを何度も重ねるのですが、
これは1発で描き終えてしまいました。

人ひとりが生きるということ、
反芻して考えている今年の春です。

昨日は絵本「とうだい」の原画展を開催させてもらってる、
長崎県諫早のオレンジスパイスさんからメッセージをいただきました。

陸前高田で被災された方で今は長崎で暮らされている方が、
オレンジスパイスでボクの絵に出会い、
生まれ育った土地や海を思い出し、
長崎に来て初めて津波で失われたお父様の話をすることが出来た。

それまでは周りのみなさんが気を使ってくださるのがわかり、
「そういうことを」を語れないでいたそうです。

まず、
そういうことをボクに伝えてくださったオレンジスパイスという場所と人に感謝。

ここまでじっくり育ててきたオレンジスパイスとボクとの信頼関係を誇りに思います。

そしてボクは『ボクの絵にご利益があった』なんて思い上がりに陥ること無く、
絵だからこそ出来ること、イラストレーションの可能性なんてものを、
真摯に(もちろんクレージーにセクシーにクールにも)追い求めて行かねばならない、
そんな責任を感じるお話を手渡されたと思っています。

あれから1年。

絵なんてものが必要とされる日がいつか来ればいいなと願い、
今日もつまらぬ絵を描こうと思います。