2019 年 2 月 のアーカイブ

3/2~10塩竈市立杉村惇美術館で展覧会開催

2019 年 2 月 11 日 月曜日


あれから8年めの3月11日を前に個人的な必然のもと、
宮城県塩釜にある美しい美術館をお借りして展覧会を開催します。

東京から「わざわざ」足を運んで頂いても満足いただけるものにしてみます。
この季節の東北太平洋沿岸の空気に出会うついでにぜひ。
そんな願いも込めて準備を進めてまいります。

小池アミイゴ展覧会「東日本」
美しき人との出会いと風景や花の絵の展覧会。

2019年3月2日(土)~10日(日) *4日月曜日休館日
杉村惇美術館、市民ギャラリー1・2
10:00 ~ 17:00 最終日3月10日は~15:00まで

SHIOGAMA SUGIMURA JUN MUSEUM OF ART
〒985-0052 宮城県塩竈市本町8番1号
TEL: 022-362-2555
http://sugimurajun.shiomo.jp

=展示=
塩釜をはじめ東北太平洋沿岸、そして日本の各地を歩いて描いた風景や花の絵
羽田空港で小山薫堂氏と展開中の「旅する日本語」の原画
絵本「とうだい」や東松島の宮戸島を舞台とした絵本「うーこのてがみ」の原画
鉛筆で描いたスケッチによる映像作品

絵本「とうだい」や東松島が舞台となった絵本「うーこのてがみ」、絵葉書の販売

=イベント=
3月2日(土)だれでも絵が描けるワークショップ、大人編 @大講堂
だれにでも出来る表現で、絵やイラストレーションの楽しさに出会える時間。
「わたし絵が描けないから、」という人こそウエルカムです。
3月2日(土)14:00~ 2時間ほど
・参加費500円、画材等こちらで準備します。
・汚れてもよいオシャレでご参加ください。
申し込むフォーム> https://goo.gl/forms/HnN0Ek2B5pu3VZYw2

3月10日(土)だれでも絵が描けるワークショップ、親子編 @市民ギャラリー
表現の最初の一歩が幸せなものであるようにと、日本の各地で開催している絵の時間です。
絵本の読み語りなども交え、親子で楽しむアートのあり方をお持ち帰りいただけます。
3月10日(日)10時~ 1時間半ほど
・参加費500円、画材等こちらで準備します。
・年齢制限無し
・汚れてよいオシャレでご参加ください。
申し込むフォーム> https://goo.gl/forms/3ZI4tE5GO4NxxpCw1

2013年3月、ボクは一通の手紙を受け取りました。
松島湾で養殖漁を営むご一家の長女で、2月に塩釜港の復興市場で出会ったばかりの方からの手紙には、震災の直後、家族の仕事場である海から見上げた空にノホホンと飛んでいるカモメに、生きている実感を得たこと。初出勤の朝、ふと目にしたシロツメクサが不安な気持ちを和らげてくれたこと。養殖漁に尽力するご主人へのラブラブな思いや、ちょっと未来の夢などが、生き生きとした筆致で綴られていました。

そんなごく私的な物語と出会えたことで、ボクは「サン テン イチイチ」と呼ばれている悲劇の地に在っても、1人の大きさで見て感じることの尊さと、そこに美しさを見つけ描くことの意義に気づけたはずです。
そうして描いた塩釜の海の上を飛ぶカモメの絵は、多くの方の共感を得て、ボクをさらに次の場所へと導き、新たなる人との出会いと共に、絵を描く力を与え続けてくれるものになりました。

「絵にできることってなんだろう?」との自問はあれから8年の今も変わらず。しかし「絵にできることはこれからが本番」という実感は今こそ深まり、今回「約束の地」である塩釜での展覧会開催に思い当たりました。

この展覧会が、みなさんの穏やかなな語らいの場所となればいいなと願い、杉村惇美術館のギャラリースペースを気持ちの良い空間に仕上げて、お待ちしております。

95ヶ月め

2019 年 2 月 11 日 月曜日


今日は2011年3月11日から2,894日
413週3日
7年11ヶ月
95回めの11日です。

2月4日から7日までの4日間、
福島県奥会津の昭和村に滞在し、
公民館に置かれた学童保育(放課後クラブ)を利用する子どもたちと
ワークショップセッションを行いました。


折り重なるように連なる山間の地で、
山手線の内側ほどの広さを有する昭和村。

日本を、というか世界を代表する豪雪地帯で、
1927年、 昭和2年 野尻村・大芦村が合併、昭和村として誕生。

山を縫うように走る街道沿って集落が点在し、
人口は1.220名ほど。

人口密度は1平方キロに5.9名

村立昭和小学校のに児童数は28名。

そのうち放課後クラブの利用は
1年生から4年生までの10名前後。

放課後クラブには、まずは低学年がやって来て、
その1時間後くらいにお兄ちゃんお姉ちゃんちゃんたちが参加。

みんなそれぞれの個性を発揮しながらも、
兄弟のような関係性で放課後の時間を過ごしている印象。

支援員さんには4名の登録があって、
そのうちお2人がメインに活動。
子どもたちの宿題を見たり遊びの相手をしたりと
日々奮闘されています。

ざくっと紹介するとこんな現場。

いつものワーークショップのように、
みんな揃ったところで「せーの」で始めることが難しいなと、

この場所をボクのイラストレーションの仕事のアトリエとして、
そこにやって来た子どもたちが、プロの画材を使って絵を描いたりして遊ぶ。

そんな設定で進めてみることを思いつきました。

昭和村の特産物には”からむし”があります。

伝統的な織物、越後上布や小千谷縮の原材料として使用されている麻科の植物。
その本州唯一の生産が行われているのが昭和村で、
近年まで村に唯一の現金収入をもたらすものでもありました。

その伝統や技術が、村の人口減などにより後継者確保が難しくなってきた平成6年、
村役場は村外から後継者を募集。

10か月間村に滞在し、からむし栽培から織りまでの一連の作業を体験する、
“からむし織姫”のプロジェクトとして現在も行われていて、
これまでに70数名の方が”織姫”として参加、
その3分の1がその後も村に暮らし、
ボクが向き合う子どもたちも織姫さんのお子さんが少なからず混じっています。

人口分布が高齢者に偏った、
今の日本を象徴するような自治体の姿をしているけれど、

そこには”ものづくり”を大切に考える人がいて、
“ものづくり”の志を持った人が移り住んでくる。

そんな環境の中で生まれ育った子どもたち。

日々自然から多くを学ぶだろうし、

昭和村だからこそ身に付くデザイン感覚なんてものもあるだろう。

廃校となった小学校の古い校舎を遺し維持する。

そんなオトナたちのモノに対する矜持も、
彼らがしなやかに強く育つための力になるだろう。

地域のお年寄りから孫のように思われ育ち、
家族や兄弟のような関係で遊ぶ子どもたち。

そんな子どもたちが面白くないはずが無い。

さて、ボクはここでなにをすればいいだろうね?

気がつけば、放課後クラブを利用する子どものほとんどは、
東日本大震災発生前後に生まれなんだ。

ここ数年、子どもとのワークショップを通して感じてきた変化。
大人への気遣いをする子どもたちが増えてきたこと。

それは昭和村にも当てはまるんだろうか?

その辺焦ることなく1人ひとりを向き合ってゆきしかないなと、
まずは1人ひとりの顔を描くところはから始めてみました。

なるほど、なるほど、
みんな面白い!

シャイにしている子に限って、
繊細だけど、とてもシンプルで力強い表現をしたり。

噂を聞きつけて未就学の子どもが乱入してきたのも楽しい!

そして、
昭和の子どもたちは手を動かしながら良くしゃべる、しゃべる!

子どもたちが絵を描くことは、そのまんまコミュニケーションなんだってこと、
色んな現場で語ってきたボクだけど、
ここの子どもたちが絵を描くことは、そのまま会話であり、
それがワイルドだけどとてもスムースに行われているのが素晴らしく、
そこには自然と1人ひとりの役割が派生し、それをお互い尊重し、
そんなみんなで描いて生まれる絵には、自然と強固な構図が構築されている。

ボクはここで子どもたちになにか与えるというより、
子どもたちの持っている力を楽しんじゃえばいい。
きっとそういうことなんだろう、昭和村。

4日間、色んなことを試してみて、
ここで今語れることは一部でしか無いのだけど、
そんなこんなの発表会は2月21日に昭和村で。

22日にもう一度彼らとセッションを行い、この企画は終了。

しかし、これからも彼らの成長にお付き合いしてみたいな。
彼らがその資質を失わずオトナになれる世界創りこそ、
「復興」だし、より好き東北だったりするはず。

なんだろ、
冬の間雪に閉ざされる過疎の土地が、
世界にグッと突き出た岬のように思えるんだよね。

その先端から見渡す世界の面白さ。

ちょっと気持ちがある限り、
手を伸ばせば捕まえられる場所にある世界。

人を金で換算するグローバルでは無く、
グローバルをローカルの集積であると考える人にとって、
世界の出発点は必ず昭和村のような場所であるんだと思った。

あの日から間も無く8年と言われる冬に、
ボクは実に自分らしい場所に立つことが出来たと思い、

ここに導いてくださったみなさんや、
お力添えをくださるみなさんに感謝。

全てが終わったら、あらためて詳細レポート作りますね〜

あ、滞在中ボクも、良い絵が2点描けましたよ〜

昭和村生まれの絵が羽田空港を飾る。
楽しみだな〜

「あまくさブルー」@青山CAY

2019 年 2 月 2 日 土曜日


「あまくさブルー」小池アミイゴ 天草スケッチ展
 会期:2019.1.29(Tue) -2.27(Wed)
 会場:CAY(Spiral B1F)

 〒107-0062
 東京都港区南青山5-6-23(スパイラルB1F)MAP
 営業時間:11:30-24:00 
 ※催事・貸切などにより営業時間を変更する場合がございます。
 事前にホームページ、またはお電話でご確認の上、ご来場下さい。

レストランバーでの展示となります。
ご来場の際にはお一人様1オーダーをお願い致します。

急遽決まった我が心の青山CAYでのインスタレーションです。

年末年始と濃密な内容の展覧会が続き、
CAYでは天草を描いたドローイングを拡大したりで、
ヒラヒラ軽快な空間創りを心がけました。

そのために、天草ドローイング数百枚のコピーを用意したのだけど、
結果欲張らず10分の1くらいを素材に、原画数点をアクセントとして配置。

「鑑賞」するようなインスタレーションではありませんが、
まだまだ寒い2月の時、CAYの食事や飲み物とともに、
天草の暖かな風を感じてもらえたらいいなと思います。