491週4日
9年5ヶ月
113回めの11日です。
75年前の8月9日、もし予定通り小倉に原爆が落とされていたら?
自分が生まれてこなかった可能性を想像し凍りつく10歳に、なにを語ればよいのだろうか、戦争を直接経験していない自分が試されることです。
ただ、何万人という数字は途方もなく受け止め難いものだけど、
親しい1人を失うということから遡って想像出来ることはある。
2011年3月11日の経験から語れることはあり、
自分が作るものもそんな足場に立ったものであろうと願っています。
そして、やはり「ひとり」という単位から想像を働かせていったイラストレーションの仕事です。
オンラインフォーラム
がんと生きる ~こころとからだ 私らしく~
2020年9月5日(土) 13時~15時45分
オンラインによるライブ配信:無料
↓詳細、視聴申し込みフォーム
https://www.npwo.or.jp/info/16849
必要とされる方はぜひご視聴ください。
制作の方向性としてクライアントから届けられたのは、
「がん患者さんは実は強いのです」という言葉。
自分の経験を振り返り、
がんで先に逝ってしまった友人と交わした言葉、
今もがん治療中の友人たちと交わした会話、
カミさんのがん闘病の側で感じたことなど、
「強い」を先回りして語ることはボクには出来ないなあ〜。
1人ひとり病状も環境も経済状況も違う中、
「がん患者はこうあるべき」的なことに追随して苦しくなってしまう人はいないだろうか?
もしくは、
被災された方に向けられた「がんばれ」という言葉や、
無邪気に語られる「被災者から逆に元気をもらっちゃいました」のような言葉から考えたこと。
そして、実際にがん治療を続ける友人との会話からいただいたインスピレーションから、タンポポとシロツメクサの花の絵を描きました。
が、この絵が正解ということでは無く、「がんと生きる」という”強い”言葉を優しく抱きしめるようなものにしなければと、イラストレーターのエゴはタンポポの根元に埋めてしまい、協力を頂いたデザイナーとディスカッションを重ね、情報をスムースに伝えることに粛々と取り組みました。
正解の無い仕事ですが、ある人にとっては生活に寄り添うものであればいいなと思うし、ある人にとっては踏み潰していっていいものだと思う、そうした幅は確保しつつ、
製作中に交わしたコミュニケーションは、これかも続けてゆくべきものだという確信を得たことは大きなことです。
生活を彩るなにか華々しきものを提供するイラストレーションという仕事ですが、
イラストレーションという仕事を通して、関わる人たちが想像し語り、より良き社会を作る力を創造する。
今はそんなことを考え、仕事をしています。
もしくは、ソーシャルディスタンスが求められる社会の中にあって、人ひとりの存在も社会の環境の一部であるという考え。
そこから導く一枚の絵はどんなものだろうか?
つねき考え続ける夏です。