個展「東日本」青山-横浜の会期を終えました。


横浜仲町台 YUI GARDEN での個展「東日本」の巡回
3月4日立春の日、10日間の会期を無事に終えることができました。

足を運んでくださったみなさま、
ありがとうございました。

会場で流していた映像「立春より」は、
去年の立春の日から4月14日の熊本地震までの毎日で続けて、
言葉と絵の往復書簡で作ったもの。

1年後の立春の人に展覧会のひとつの区切りを得たこと、
不思議な縁を感じています。

最後のお客様は、昔からの友人からトランペットを習っているという方。

じっくり作品と向き合ってくださり、
絵について3つ4つと質問してくださったのですが、
イラストレーションやデザインの現場とは違った発想の質問は、
ボクにとって刺激的なもので、
あらためて自分の描いたものの意味を知ることに繋がりました。

足を運んでくださった多くの方が、
「気持ち良い空間だった」との言葉を残してくれた横浜での展覧会。

展示設営の際、美しく心地よい空間創りを一番に考えるボクにとって、
YUI GARDEN での開催3度目にして、
「ここに来ることが楽しみ」と言ってくださる方が少なからずいらっしゃったこと、
とても嬉しく感じております。

青山yuiと横浜仲町台YUI GARDENとで1セットになった展覧会の1ヶ月は、
ちょっと長い旅を経験したような気持ちになります。

ボクは家とギャラリーを往復し、現場に立ってるだけなのですが、
それでも旅をした気持ちになるのは、
ボクにとって旅とは人と出会い人を巡ることであるのでしょう。

灯台のようにそこに立っているだけでも、
足を運んでくださる方が多くをもたらしてくださる展覧会。

誰彼拒まず扉を開いているギャラリーという場所、
そこを風通しの良い会話の空間としておく限り、
ボクたちはひとつの絵の前で多くを語りあえることが出来る。

絵が主役なのではなく、
その前に立つ人、そこで交わされる会話こそがボクの展覧会の主役であると、
今回の横浜の時で確認しました。

あるお客様が絵本「とうだい」を3冊購入くださり、
そのうち1冊はその方から手渡されたハンカチの絵を描いた女の子のお父さんに届けるとうかがいました。

絵本「とうだい」の参考にした灯台のある土地で、
東日本大震災の津波被害に遭い、10歳で人生を終えざるを得なかった女の子

彼女の夢は「デザイナーになること」だったそうで、
それを知ったプロのデザイナーさんが彼女の絵を使い企画し製作したハンカチ。

「とうだい」を届けられたお父様はなにを思われるのか、
ボクは想像することは出来ないでいます。

ただ、ハンカチをボクに届けてくださった方も、
そうすることでなんらかの救いを手にされるんじゃないか?

ボクも、それは今のタイミングではないけれど、
いつかこうしたことの先に救いを手にするんだろう。

我々は「被災者」と呼ばれることのない者ですが、
我々の間にも救いの種を蒔き、丁寧に育ててゆくことで、
人ひとりを救えるようなことに繋がらないだろうか。

焦ることなく確かにやって行かなきゃだし、
描く絵もさらに鍛えてゆかねばならないと思いました。

青山での展覧会に比べると、
より考える時間を手にできた横浜での時。

会期中に5度も足を運んでくださった高校生の女の子がいました。

他のお客様がいなくなった際じっくりお話をうかがい、
「将来」や「表現」なんてものについてちょっと偉そうに語ってしまったり、、

でもそういうことだよな〜。

普段ならちょっと恥ずかしいような話でも、
絵の前だったら出来ちゃうし、
そうすることで彼女の未来が彼女の望むものにちょっとでも近けたら、
ボクが「被災地」と呼ばれる場所を歩き絵を描いた意味はあったなと。

そういうことが「復興」のひとつであればと願いながらも、
答えはずっと先でいいから、ともかく続けてゆこう。

そんなやはり普段なら恥ずかしいような話を、
30年ぶりくらいに再会したトランペットを吹く兄さんと、
かなりテレながらも話すことができました。

ということにおいても、
絵を描いてきてよかったなあ〜

下神くん、
おたがい変にシャイで、本格的に変だけど、
これからもおたがい頑張ろう!

この展覧会は、前回2015年の「東日本」の作品を交え、
2月18日から3月5日まで大阪池田のラルゴに巡回します。
http://ameblo.jp/artspace-largo/entry-12239019447.html

次の現場もあらゆる人に開かれた風通しの良い現場になりますよう、
やはり美しく心地よい空間を創ってみます。

コメント / トラックバック 2 件

  1. 菊池まゆみ より:

    岩手にも来てくれると嬉しいです

  2. 小池アミイゴ より:

    >菊池まゆみさん。
    ところが偶然、昨日「宮古でやれないか」とのオファーを頂いたばかりなのです!
    これはぜひ実現したいなと。
    岩手、心からLOVEです!!

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