115ヶ月め
今日は2011年3月11日から3,502日、
500週2日
9年7ヶ月
115回目の11日です。
コロナで行動が制限される今ですが、
9月の土曜日に、近所の落書き消しを街の仲間と行いました。
震災から続けているブログで「なんのこっちゃ?」でしょうが、
この9年7ヶ月で感じたこと得たものなどが、ひとつ自分の暮らす街で形になったのではと思い、言葉にしておこうと考えました。
こんなことをやろうとする引き金になったことが2つ。
ひとつは、息子の通う小学校の子どもたちと2年前よりセッションを重ねている、代々木八幡駅ガード下40メートルの壁画制作。
その2年前の9月の初セッションの絵を、ここを管理する東京都担当部署の担当者より「落書き」の烙印を押され、2ヶ月後には白系の色で淡く塗りつぶした冬景色に変えるつもりでいたのが、半年間なにも出来ない状況になってしまったこと。
地域と学校とPTAと子どもたちとボクとで連携を深め進めている、とても豊かな発想の企画の”はず”で、
「えー、ボクと担当者で直接話させてもらえたらいいのにーー、、」
なんだけど、
なにやら東京都と渋谷区と地域とで難しい構図があるみたい、、
てか、「落書き」とレッテル貼ったものをその後半年も放置させるって、おかしくないか??
(ちなみに、ボクは「落書き」という言葉をあまりネガティブに考えていなく、気持ち悪いアートや芸術を押し付けられるのであれば、楽しい落書きを選ぶな。)
ともかくこの状況にモヤモヤとムカムカを交錯させ続け、
半年後に作業再会、その後5回のセッションを重ね、
しかしコロナで最後の作業が出来ないでいる壁画だけど、
今は街の人のBGMとして機能してくれているはず。
(今でも悪く言う人もいるけど、それはどんな表現にも必ずあることだからなあ、ともかく街との親和性の高い公共物に仕上げるしかないね。)
ともかく、この経験で感じた『コミュニケーションが滞ることでやるべきことが出来なることへの苛立ち』
これってすごーーく無駄なことなんじゃないかと思ったんだよね。
そして、
7月2日に不審者情報回ってきたこと。
7月2日午前8時10分頃初台1丁目付近の路上で登校中の他校高学年女児が腕をつかまれる事案が発生しました。
この情報をFBでシェアしたところ、
友人が連絡をくれて、その被害に遭ったのは私の娘で、過去にも似たようなことがあった、と、、
そりゃあ「カチーン」と来るわいね。
今年は新型コロナ感染拡大の影響で3月から5月一杯まで学校は休講。
6月から学校が再会されるも、分散登校だったり、オンライン併用だったり。
そんな状況下で子どもたちの気持ちってどんなだろうと、我が子ひとりを見ているだけでは分からないことだらけの中、バカチンが子どもに手を出すって、、
これはみんな不安だし、人に対する不信感もハンパないだろうと、
しばらく朝の登校の見守りをすることにしました。
こうしたことは、地域のボランティア組織やPTAでも出来るのかなと、
問題の投げかけてみたら、「要請があれば」とか「〇〇にお伺いを立てて」みたいな言葉が返ってきて「カチーン」再燃。
オトナが子どもたちにやるべきことは明快で、
なるほどこれは誰かに言われてやるようなことじゃないなと、
勝手に自主見守りを続けることにしました。
そんなマインドで街を見回すと、
息子の通学路の壁面の落書きがずーっと放置されているのに「カチーン」
ボク自身Hip-Hopカルチャーの影響下でグラフィティーアートが大好きであるのだけど、それとこれは別問題。
「割れ窓理論」で語られるように、こんな路地に好き勝手なタギングされたら、『ここは犯罪し放題ですよ!』と言ってるようなものだろう。
で、
あれ?
ここも東京都の管轄だよね??
子どもたちと描いた壁画を「落書き」と判断し、作業を半年も停滞させたのに、
あれあれ?ここはもう何年放ってあるんだ?
そんな疑問をFBに投げかけたら、渋谷区の区議さん神園さんが渋谷区担当部署に繋いでくれた。
渋谷区 環境政策部環境整備課きれいなまちづくり係からメールでコンタクトを受けたのが7月20日あたり。
係のみなさんとオンラインのミーティングをしたのが27日。
なるほど、これくらいの手はずは必要なんだろうと思い、話を聞いてみたら、
落書き消しの資材はお貸しくださるとのこと。その際落書き消しの区としての”許可”も行うみたいな話。
さらには、東京都の”許可”に加え、
落書き消しのための道路使用許可証を警察署で取らねばならないとのこと。
えーーーーーーっと、落書きを消すだけの話なんだけど、、
落書きする人は許可なんかもらってないしなあぁ〜〜
もちろんわかるよ、
ここは道路で、壁面の使用はそのまま道路交通法の下にあるだろうし、何を使って消すか描くかなどは、環境に関わる問題だから、一定の管理下に置かれる必要があること。
が、しかし、
子どもたちの安全を守ろうって問題の本質は共有出来るのか?
渋谷区担当者は、
許可を得たいので、「いつ」「何人」で行うか教えてくれと。
いや、これ明日でもやっちまいたいのだが〜〜、
それでも渋谷区の担当者の対応が親身なものに感じたので、
わかりましたと、とりあえず。
日程は猛暑の時期を避け、しかし、子どもたちの夏休みが終わってしまわぬ8月後半までにはやれなばとスケジュールを組む。
それに間に合うようにと代々木警察署に道路使用許可証の申請に行ってみたら、
まあ、自分の無知も悪いのだろうが、
縦割り行政の弊害っていうのかなあ〜、あれもこれも足りないみたいな対応で、
いやいや、俺は落書き消しの話をしに来たのであって、行政の仕組みのレクチャーを受けにきたんじゃねーぞ!と、担当のおっちゃん刑事に噛み付く。
されに「現場の使用状況が誰が見てもわかる図面を書いてこい」「こんなん書いたことあるの?」みたく言われ、カチーーン、、
おいおい、誰に口聞いてんだと言い返すも、
しょうがねえ、出直しだ。
家に返って作成しましたよ、
誰が見てもよーーーーーっくわかる図面。
次の日渋谷区役所で落書き消しの申請と共に、
落書き消し資材一式の借用を受ける。
が、東京都との連携が遅れ、
日程を再調整する必要があるとのこと。
むむむ、夏休み終わるなあ〜
しかも、熊本の豪雨被災地に行く予定が被ってくる。。
日程は熊本から帰った直後のピンポイントなスケジュールで決め込んで、
なんやかスッタモンダな状況だけど、
渋谷区の担当者の対応は相変わらず親身で、
東京都の許可証は、渋谷区から代々木警察署に届けてくれるって。
しょうがねえ、
思い荷物を2つぶら下げやれることやるべく代々木警察署まで。
すると、
道路使用許可、するっと申請通った。
昨日の警察のオッチャンも、今日はなぜか対応が良く、
「こんなの渋谷区が消せばいいのになあ」などとさえ言ってくれ、
いやいや本来は東京都なんじゃ無いかなどと語っているうち、
結果お互い歩み寄り。
俺たちは街を良くして行こうという仲間であることを確認。
申請料2700円は、まあ俺の勉強料なんだろう。
オッチャンは、渋谷区マターで行えば徴収なないんだが〜などと、
まあいいよ、落書き消すだけの事にめんどくせえ道はいらねえ。
ただ「誰が見てもわかる図面」、わりかしスルーな感じでファイルに入れてしまったのは、ちょっと寂しかったぞ!オッチャン、、
そして9月4日落書き消し。
消そうと思い立ってから2ヶ月だよ。
メンバーはこれを面白がってくれる人に限るなとFBで募り、
ただ、この店が出来てくれたおかげで街が楽しくなったという珈琲屋Little Nap COFFEE の店主濱ちゃんには是非お手伝いしてもらいたいなと。
ボクが本当にやりたいことは、落書き消しってより壁面が綺麗になること。
そのためのクオリティを担保してくれるのが濱ちゃんだろうって考え。
濱ちゃんも俺も現場での判断が早く、
ここをより綺麗にするにはという考えが素早く投下されてゆく。
うれしかったのは、笹塚ボウルのオーナー財津さんの参加。
震災直後の街で笹塚ボウルがやれたことのデカさ。
ヤンキー気質のとっぽい男はやることが早く的確なのだ。
よく働くリトルナップの若手スタッフや、
今回コーディネートくださった神園さん、
地域のボランティアグループで絶えず地域のことに尽力している菱倉さん、
PTAの活動に必ず程よい距離感で力を発揮してくれる加部さん、
ただ気になったって言って見に来てくれる人とかも含め、みんなありがたい。
が!
「自分でした落書きが見つかって罰を与えられている奴らにしか見えねーぞ!」という言葉もたくさんもらった。
そうそう、それなんだよ、
まさにそう言われることが裏テーマってくらいの作戦。
ここでやったことは、
街の美化や子どもたちの安全というイデオムもあるが、
お洒落やアート、楽しいやcoolなんて文脈でやってるし、
欧米を真似たタギングよりも、
hip-hopカルチャーの影響下で、落書きを消すグラフィティというアートフォームをこの街のリアルに合わせて絞り出した、なんてことも言わせてください。
で!俺の思惑の完成形を凌駕する、リトルナップ濱ちゃんクオリティ投下で、渋谷区富ヶ谷二丁目はさらにお洒落になりました!ということです。
作業を終えてみればみんなから自然ともれた「なんか楽しかったね〜」という言葉。
それこそ自分が作りたかったもの。
そして、リトルナップ差し入れのレモネード、
うまかったな〜〜〜
うん、この夏一番美味しかったものだ。
この壁の上の歩道はいつも綺麗になっていて、
登校の見守りをしていたら、ビルのオーナーさんがピンセットまで使って歩道の掃除をしているのに出くわした。
ボクはイラストレーションを作ることを仕事としているけれど、
なにかを社会に足してゆくだけでなく、
こうしてゴミをピンセットで摘まみ上げるようなものが、
放置された壁面の汚れを綺麗にするようなことが、
イラストレーションで出来たらいいなと思っている。
こうしたことは、震災からまもなく10年の被災地と呼ばれる土地でも必要とされてくることだと思い、
10年間の延長が決まった復興庁に問い合わせてみたら、そうした予算は無いとのこと。
もうちょっとコミュニケーションとれたら、こうしたことの必然が伝わると思うのだが、
今は縦割りのなんちゃらに縛られること無く、目の前にある問題をさっさと片付けてしまって現れる風景を、
見てもらうしかないよな〜〜。
壁面美化完了の連絡を渋谷区にとどけ「お疲れさん」を交換。
東京都はその後この現場を見に来たかな?