山口市を歩いたこと


山口の湯田温泉に足を運んだのは4回目

今回のワークショップを企画して下さった
Organ’s Melody のeizoさんを頼って
過去に3回ライブの企画をお願いしてきました。

ただ、そういったライブの時は
時間までに現場に入り、イベント終了後は打ち上げ、
時間が来たら移動。そんな繰り返しで、
その土地を感じることが出来ない歯がゆいもの。

今回も2泊3日と決してユッタリなにか出来るというものではないですが、
それでも自分の足で湯田温泉を足場に山口市を走ってみました。


以前仕事で描いたことがあり、
いつか本物を見てみたいと思っていた山口県庁の旧庁舎

今はたいていのことがネットの情報として手に出来ますが
この日のひんやりとした空気の中で出会う古い建物は
山口市の歴史を饒舌に語りながらも
自分のことはあまり語らぬような
この土地の男の資質と似てるように思いました

県庁の先を山の中にちょっと入ってゆくと瑠璃光寺

俗に「瑠璃光寺五重塔」と呼ばれる塔は
否応無しに人を引きつける力に溢れ
しかしどこまでも静かに西の京と呼ばれた古い町を見守っていました

辺りはどんどんと暗くなってきて
ヒトリでいるのがちょっと恐くなってきたのだけど
では、昔の人はこの暗さの中に何を思い
この土地にこれだけのものを築いたのだろう?なんて想像が
果てしなく涌いてきました


湯田の温泉街を含む山口市は
四方を山に囲まれ
実にコンパクトな造りの町

その昔、大内氏の治世の際
自然の地形を活かしながらも
京都を模した碁盤の目に区切られた市街を持ち
歩いて見ると(ボクは8kmほど走ってみたけど)
とても理にかなった町なんだと思いました


行政による立派な文化施設と
歴史を感じさせる古い建物が並ぶ町並みは
人に対する優しさに溢れています

明治維新を牽引した長州の中心は
山口県でももっと西の方であり

古都とも言える山口市は
人の心を育む揺りかごのようにして
文化を純粋培養していったんだと思いました。


中原中也もこの町でうまれたひとり

生家の跡が記念館になっていて
たっぷり時間をかけて
彼のコトバに再会してみました

いや、
「たっぷり時間をかけて」というより
「時間をかけざるを得ないコトバたち」

この土地で出会う中也のコトバは
東京で出会った30年前に比べて
あまりにもスゥーと心に染み込み
今までとは違う身体や心の部分に共鳴を与えてくれました

それはボクの心のひび割れが
30年分だけ増えたこともあるのだろうけど

それ以上に
この土地の空気と共鳴するものが
中也のコトバに含まれているのだろうね

東京での奇行で語られることの多い「詩人」の中也だけど、
山口の人々にとっては、
町を囲む山々に響く山びこのようなものなんじゃないかな?

記念館で展示されている中也のコトバ
その活字の文字組が美しくて
そんなこともあって心にスッと入ってくるのだけれど

それは今まで聞いた事の無い
メロディーを持たぬ音楽のように思えました


山口
また今度
今度はさらにユックリ時を過ごしたいと思いました

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