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「小さな赤いめんどり」

2017 年 2 月 28 日 火曜日


アリソン・アトリー原作の児童文学の傑作「小さな赤いめんどり」
こぐま社の”こぐまのどんどんぶんこ”シリーズの1冊として刊行されます。

アリソン・アトリー 作, 神宮輝夫 訳, 小池アミイゴ 絵
80ページ:214×152mm / 定価 1,296円(本体 1,200円)
小学校1,2年生から
ISBN 978-4-7721-9064-0
http://www.kogumasha.co.jp/product/568/

ボクは表紙とすべてのページでの挿絵を描いています。
情熱的な編集とデザインをいただき素晴らしい「本」になりました!

この『こどもの手に気持ちよく収まる一冊』を手にされ、
楽しくページをめくっていただけたら幸いであります。

作画の依頼を受けたのが去年の夏の始まるころ。

児童書のベテラン編集の方から「参考までに」と見せてもらった、
やはり神宮輝夫先生訳の1969年に刊行の「小さな赤いめんどり」

表紙と挿絵は油野誠一さんがご担当されていたのだけれど、
やはりそれが素晴らしすぎて、少なからずのプレッシャーを感じつつも、
今の時代に必要とされるものを考えなければと思いました。

さらには、
今の時代の中で「児童文学」の置かれた厳しい現状についても伺いました。

まず、子どもが「児童文学」というジャンルの本を読まなくなった。
(ゲームやアニメ、スマホなんてものの影響も少なからずありますが)

なので、本屋さんから児童文学のコーナーが失われてゆく。

その状況が続いてきた中、目利きのオトナも失われつつある。

児童文学は基本オトナが子どもに与えるものですが、
オトナが「分かる」本を選ぶ傾向になってしまっている。

もうちょっと言えば、
少子化の中、子育ての大変さにフォーカスされた、
親御さんが「共感」する本がチョイスされる傾向がある。

そうなると子どもの本はますます「赤ちゃん絵本」に特化され、
子どもの想像力を信じた余白のある本は片隅に追いやられ、
たとえば大きな商業施設の本屋さんの子供向けのコーナーは
アニメとゲームと赤ちゃん絵本で売り場を締められてしまう。

担当編集者からうかがった話に
ボクの実感を加えて言葉にするとこんな感じです。

それでも子ども達に素晴らしい児童文学に触れて育ってもらいたい!

そのために、初めて児童文学に触れる子どもでもスラスラ読めるよう、
文字の大きさや並びを考え(こくごの教科書で慣れ親しんだものに近づけたり)、
挿絵はストーリーを見失わぬよう説明的であり、
しかし、子どもも想像力に蓋をしない空気感のあるものにする。

この一冊に出合った子どもが、次の一冊に手が伸びる、
本を読む子どもに育ってもらいたい。

編集の現場の方の叫びのような心情に触れ、
ではこの名作と言われるストーリーにどんな絵を添えて行ったらいいのか?

ちょっとくらいの遠まりは恐れず、
コミュニケーションを密に絵の世界を深めてゆきました。

「小さな赤いめんどり」の主人公のおばあちゃんとめんどり、
2人は心を通じ合わせ、会話もします。

人間とニワトリがなぜ?

人間のする仕事にせっせと勤しむ”めんどり”などなど、
不思議なこと、不条理なことがたっぷり詰まったストーリーです。

こういったストーリーの細部に対して「なぜ?」と思い、
「わからない」と遠ざけてしまうのが、残念ながらオトナなのでしょう。

しかし子どもはそこを突き破り、ある意味自分勝手な想像の翼を広げ、
文章の山を飛び越えてファンタージーの世界に舞い降りることが出来るのです。

ただそこでなにを感じるのかは、
親御さんとの日々の会話の豊かさが決定づけるのではないでしょうか?

日々なにげなく目にしたり感じる美しきものを、
自身の実感から湧いた言葉として子どもと交換しておくかぎり、
名作と言われる児童文学は無言で子どもの側にあれば良く、

文学の不条理の世界の中で、お子さんは親御さんとの豊かな経験を増幅させ、
親の思惑を超えた想像力を手にするはず。

それはとても豊かなことだなあ〜

などということを、
実は絵本「とうだい」の制作から「小さな赤いめんどり」の作画作業を通して手にしてきたボクです。

今の時代を生きる子どもが興味を持ってスラスラ読めるよう、
イラストレーターとして培ってきたアイデアを結集させ、

しかし、子どもたちの想像の余白をなるべく広く確保した、
ちょっとやそっとではヘタらない世界を描けた自慢の挿絵です。

なにより、
作画終わった後の編集からデザインの作業、
そして翻訳者である神宮輝夫さんまでが細部をカスタマイズして下さり、
今の時代から未来に向けてベストな本にして下さったこと、
この仕事に関わり誇りに思っております。

で、めんどりさん、
過去に色んな国で絵本にされてきましたが、
きっとボクが一番スタイル良く描いたはず。

赤じゃなくピンクだしね!

うん、長く可愛がってもらいたい「小さな赤いめんどり」なのです。

「ためない習慣」アートワーク

2014 年 8 月 24 日 日曜日

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「ためない習慣」金子由紀子さん著作、青春出版社刊
http://www.seishun.co.jp/book/15546/

フリーの編集者Sさんからの10年来のラブコールが実り、
仕事をご一緒させて頂き、挿画と挿し絵を担当しました。

「片付け」がまったくダメなボクにとっては、
なかなか手厳しい内容の、
しかし、
シンプルライフに向うアナタには実に有益な1冊!

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本文に添えるイラストレーションを先行させ製作。

その後、表紙のビジュアル案を絞り出していったのですが、
結果、シンプルで飽きのこない絵が羽ばたいてくれました。

こういうアクの無い軽やかなものって、
ボクがイラストレーターとして目指すひとつの世界なんだけど、
こういうのに限って、なかなかサラッと描けない、、

それを今回カタチに出来たのは、
編集Sさんの根気あるコミュニケーションのお陰。
ほんと、ありがとうございました!

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表紙が爽やかに仕上がった分、
中面に添えたイラストレーションは、
本文の流れをスムースに紡ぎつつ、
サラリと毒もまぶしときました。

いわゆる自慢の1冊。

ボクと同じく「片付けられない病」の方はもちろん、
生活をさらにシンプルに快適にとお考えの方、
ぜひ手にされてみてください!

「六月の認知の母にキッスされ」最終回

2014 年 7 月 11 日 金曜日

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ぬじめ正一さんの自伝的且つオトナのためのファンタジー
「六月の認知の母にキッスされ」
中央公論での連載が今号で最終回となりました。

15ヶ月に渡って描いてきた挿絵。

ねじめさんのお母様の認知症が進行してゆくリアリズと、
それにともない染み出して来る
どうにも可笑しい人間讃歌なエピソードの数々。

その時系列に沿って絵を描いてゆく作業は、
イラストレーターとしてものすごく試されるものでありました。

そうして悪戦苦闘の末の最終回。

それは巻末近くに添えた1枚の絵を描くための
真っ当な悪戦苦闘であったなあ〜と。

どうぞ中央公論8月をめくって確認していただけますよう。

介護はこれからボクも向き合わねばならぬ現実。
その前に、こんな人間ドラマに立ち会えた15ヶ月。
今はただ有り難く思っております。

ねじめ正一さん、担当編集Tさん、
長い間お付き合い頂き
ありがとうございました。

2014
0711
PEACE!!

連載で使用したイラストレーションは
こちらのリンクに掲載しております。
http://www.tis-home.com/amigos-koike/works/131

最終回も含めた未掲載3回分のイラストレーションは、
8月になったら掲載する予定です。

情熱

2013 年 10 月 18 日 金曜日

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かまくら春秋社発行の「詩とファンタジー」秋栞号で絵を1点描いています。
「人を好きになって」という詩の世界に添える絵。
見開きでA3という空間で真摯な言葉とコラボレーションしています。

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昨日届いた本誌では、
特集「佐藤春夫の殉情」で佐々木吾郎さんが

20篇の投稿詩には
北見 隆さん、雨宮尚子さん、信濃八太郎さん、ワタナベモトムさん、クマアヤコさん、井筒りつこさん、あずみ虫さん、
福田利之さん、山口はるみさん、山田詩子さん、宇野亜喜良さん、西田知末さん、原 マスミさん、味戸ケイコさん、
ささめやゆきさん、網中いづるさん、小谷智子さん、高田美苗さん、須川まきこさんが描く絵が
A3の大きさにレイアウトされ、迫真の詩とファンタジーの世界を構築。
その一番最後にボクの絵が載せられたページあります。

そして、
表紙をめくったトビラには、やなせたかしさんの“編集前詩”が
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送られてきた本誌に添えられた編集部からの挨拶文は、
「本誌完成の前日にやなせたかし先生の訃報が届きました。」
という一文から始まり、
本誌責任編集という立場であったやなせたかしさんの想いを
後世へのつないでゆくとの意思が書かれていました。

本誌には巻頭の“編集前詩”の他あと2篇、
やなせたかしさんの詩が収められています。

それは表現に生き
人を育てることに尽力されてこられたヒトリの人間の
じつに清々しくも美しい遺言状のようでありました。

このような贅沢な本を季刊で発行し続けることは
並大抵のことでは無く、
しかし、毎回妥協することなく情熱が注がれて生まれる
ものすごく特別なものなはずです。

それが1050円で買えます。

宮崎駿さんが「もうファンタジーは創れない」と語った2013年
ぼくらはやなせたかしさんという星を失いましたが、
しかし、先達の情熱はボクたち1人ひとりに手渡されていますね。

みなさんぜひ本誌を手に入れ
やなせたかしという人の人生に触れてみてください。

昨日はもう1冊の本が届けられました。
(さらに…)

「六月の認知の母にキッスされ」

2013 年 5 月 10 日 金曜日


中央公論での ねじめ正一さんの連載小説
「六月の認知の母にキッスされ」
1年間の連載で挿絵を担当します

母親の認知症や介護といった
リアルで切実で難しい問題を扱いますが
朗らかな心で描き通せたらと考えております

みなさん1年間のおつき合い
どうぞ宜しくお願いします。