67ヶ月め

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今日は2011年3月11日から2041日め
5年7ヶ月
67回目の11日です。

宮城県東塩釜の”越ノ浦”で養殖漁を営む共栄丸さんから、
この季節ならでは”蒸しワタリガニ”を送って頂きました。

わかめ、昆布、牡蠣やホタテを地域ブランドへと育てている共栄丸さんですが、
こんな立派なワタリガニは意外でした。

で!
美味しい。

もともと蟹の中で一番好きだったりもするのですが、
爽やかな香りと程よく濃厚な味わい、
いや〜、ほんと美味しかったなあ〜。

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今年の8月のお盆の頃、
気仙沼に向かう途中にちょっと寄った共栄丸さんでしたが、

ワタリガニくんのせいで塩釜への郷愁が一気に膨らみ、
狂おしいほどの心持ちで彼の地で吸った空気の味を思い返しております。

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去年の11月、被災から5年の手前で、
塩釜港の仮設の「復興市場」から東塩釜の元あった場所にもどり、
営業を再開した共栄丸さん。

目の前の自慢の海”越ノ浦”は防潮堤の工事が始まり、
次に行った時はどんな景観になってるんだろ?

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東北太平洋沿岸部には、
異例のスピードで「復興道路」としての三陸自動車道が造られ、
この旅の帰り道は気仙沼から仙台まで一気に走り抜け、
ギリギリのタイミングで新幹線の時間に間に合ったという「便利」を得ました。

ただ、仙台や塩釜の都市部や観光拠点の松島にはインターが置かれましたが、
共栄丸さんのある東塩釜は素通りされてしまうことが増えたと。

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東北太平洋沿岸部の自然の奥深い美しさを知ることの出来た
三陸自動車道での帰り道。

ここからボクたちはあらたな豊かさを発見することも出来るでしょう。

ただ、そこからちょっと脇道それた場所にも、
掛け替えのない豊かさだったり、美味しさだったり、
愛しくてたまらない「ひとり」を見つけることが出来ること、
絶対に忘れちゃならないです。

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それにしても共栄丸さんのある”千賀の浦市場”
国道45号線沿いにあるんだけど、
看板が見づらくて通り過ぎてしまいがち、、

もしよければボクとか力出しちゃうから、
ちょっとのお金を集めて、
美しく目立つ看板作りませんか?

いや、これを目標に生きよう。
蟹のお礼は看板で!

そんなことを考えている今日この頃。

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昨日は仕事関係で銀座でのパーティーにご招待をいただきました。

仕事の都合ですぐ帰られなならなかった帰り道、
銀座のきらびやかさに心が迷子になりそうでした。

ああ、あのブティック(ほぼ海外ブランド、)のディスプレイひとつ分のお金があれば、
東北の沿岸部の心ある生産者の店舗がわかりやすくなる看板作れるのにとかね、

“TOKYO 2020″に向けてなんだかマッチョなお金が動いているみたいだけど、
土を掘ったり盛ったりの予算のわずかちょっとの分を振り分けることで、
未来に命を継なぐ「豊かさ」ってあるぞー!ってね、、

そんなこと考えて歩いていると、
東京の夜の街でスッと孤独の穴ぼこに落ち込んでしまうのです。

しょうがねえ、
東北で見た美しさを絵にするしかねえと筆を取るのだけれど、
今度は絵の腕が追いつかねえ。

「あの日から2041日め」というものがどういものか、
もはや見失いかけているかもしれないのだけど、
それでも、愛しき「ひとり」を知る限り、
なんとか迷うことなく生きてゆけるんだと、
自分に言い聞かせ生きてゆくしかないね。

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以下「Peaceてぬぐい」と名付けた手ぬぐいに添える手紙。

6刷り目の今回は、
福島市にあらたに生まれた「ヒトト」という食堂で働くことを決めた、
福島出身のOさんのことを書きました。

ボクのラブレターみたいに恥ずかしい駄文に加え、
彼女の『福島で働き生きる宣言』のような手紙を合わせ、
Peaceてぬぐいに添えます。

++++

栃木県那須黒磯のSHOZO COFFEE の洋服屋 04 STORE でのこと。

日が傾き西日が差し込み始めた店内、季節は本格的な夏が始まる頃、
ボクは彼女がTシャツをたたむ手の動きを見つめている。

繊細な手の動きに西日がキラキラと踊る。実は「見つめている」ことに気がついたのは、
彼女がその作業を始めてしばらくたってのこと。

それくらいその行為は「当たり前」の顔をして進められているのだ。

この店で買う3枚目の同じブランド、同じ形のTシャツは、
彼女の「たたんでラッピングする」という厳格なルーティーンが成されることで
「特別なもの」へと姿を変えてゆく。

なるほど、ボクがこのTシャツをSHOZOで買うのは「彼女が売っている」からなんだと、
同じTシャツを3枚買って気付いた。

それくらい彼女の「売る」は「丁寧」を呑み込んだ「当たり前」な美しさに彩られていた。

そうして手渡されたTシャツは6年たって首回りがボロボロになったが、
ボクは今も着ている。

このことは少なからずボクの生きる価値観を良い方に更新してくれた。

そんな彼女が生まれ育った福島のため、
福島の食材を活かした場所を切り盛りすることを決意した。

ボクは東日本の悲劇を経験し、
被災した土地を巡り歩くことで自分の言葉を紡いできた。

しかし、
原発事故に対しては未だ明快な言葉を持てないでいる。

ただ、ボクに1枚のTシャツを売ってくれた彼女を通して感じる福島に、
大きな希望を寄せているんだ。

「ヒトト」
福島県福島市大町9-21 ニューヤブウチビル3F
TEL.024-573-0245
営業/12:00~19:00 火定休 

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6刷り目があがりましたら、
あらためてお知らせいたします。

Oさんの働く福島

SHOZOのある那須黒磯

吉祥ににあった「ヒトト」という店

そのオーナーは現在長崎の雲仙に暮し

Peaceてぬぐいを管理販売するのは
同じく長崎は諫早のオレンジスパイス

ボクが暮らす東京渋谷ローカルから見える風景

その先はどんな未来だろ

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