2017夏のワークショップ


この夏いくつか開催したワークショップ。
子どもたちの莫大なエネルギーを浴びつつ、
これから生きてゆく上で必要なことを確認出来たなあと。
ちょっと駆け足になりますが、記録しておきます。

7月28日は湘南T-siteのレストランLIFEsea恒例の夏祭り。
今年はファンキーお面作りワークショップからの”こどもディスコ”


飲食店のお客様サービスのための企画なので、
流しそうめんなどの鉄板コンテンツと共存しつつも、
さてどこまでアクセルを踏み込めるか。

こういうことに経験値の高い子どもも多く、
思いがけず出会えるオシャレなデザインが
ボクのモチベーションを押し上げてくれます。

あとは、どこまでも突っ走ってゆく子どもたちの元気をサポートしつつも、
その表現が「振り切れた表現」なのか「暴力」なのかを見極めること。

振り切れた表現だと判断できたら
安全を担保しながら「かっこいいね!」と

暴力を感じたら「それは面白く無い」「こっちのほうがかっこいい」

そんな言葉の投げかけと共に、
ともかく美しいものへ導いて、
いや、共に突き進んでゆくのがオトナの役割。

そんなコミュニケーションの輪にいかに子どもたちの親を巻き込んでゆくのか。
お客様サービスではあるけれど、子どもにとって一番大切なことなので、
ボクの頑張りどころってそんな部分だったりします。

8月19日は渋谷区代々木の”かぞくのアトリエ”で
午前は0,1,2歳向け、午後は3歳以上向けのワークショップでした。

年齢分けの開催になったのは、
午後1回の開催で定員25名の募集をしたところ、
140組の応募をいただいたので、開催を2回に増やしたためです。

0,1,2歳に限定したワークショップは初めて。

お兄ちゃんお姉ちゃんのいる現場では、
自然と小さな子たちも引っ張られて手をうごしてゆくのですが、
今回は一緒に絵を描くパパママさんと子どもとの絵を使った会話って感じ。

パパママさんたちには、答えを先回りすることなく、
子どもが起こしていることを辛抱強く見守ることをお願いしました。

目の前で生まれる色の世界に驚くのか、
筆を動かす体の気持ち良さを共有するのか、
手が絵の具で汚れたことを嫌がる、が、そのうち面白くなる、
そんなことを一緒に楽しむのか、

1人ひとり答えなんか決まっていない事態に慌てず、
やがて見えてくるこの日の子どものマックスな喜びの記憶を持ち帰ってくれたらなあと。

そうやってみて、
やはり年上の子どもたちが参加していたら、
もっとスムースに子どもたちの力に火がつくんだろうなと。

ただ、0,1,2歳だけで描いた世界は、
ものすごくワイルドだった!

午後の3歳以上の回では、
絵を描くことで自然と生まれる子ども同士のコミュニケーションを信じた上で、
「ママ見て!」という親子の間のコミュニケーションを大切にする、
そんなことを心がけてみました。

今回特にパパさんの参加が多かったのだけど、
なるほど、ママさん以上に「それやっちゃダメでしょ」みたいな声が聞こえてきて、
その度に「いや、もっとやっちゃっていいよ」と。

珍しく全体でパタッと手が止まってしまった瞬間もあったけど、
「家でも保育園や学校でもやっちゃダメって言われることやろう!」
「よーし、ドラえもんタイム!」
みたいな感じでクリエイティブの”どこでもドア”こじ開け。

そうしたボクの振る舞いがパパさんたちのプライドを傷つけないか心配しながらなんだけどね、
でも、子どもたちの手元で生まれるエネルギーに満ちた現象を目の当たりに、
徐々に心のリミッターを外していってくれたパパさんたちです。

2歳以上の子どものやることであれば、
安全である限りともかく見守り、
子どもたち「ママ見て」「パパ見て」にきちんと答える。
そうして生まれたものに美しさなり楽しさなりを見つけ、
その喜びなり驚きなりを自分の言葉で返してあげる。

そこで「オトナの納得する立派なもの」が生まれる必要はなく、
そこでどんなコミュニケーションが生まれたかが大切なんだよな〜

子どもたちみんなが画家になるわけじゃない。

でも、子どものころのこんな記憶は、将来なにかの壁にぶつかった時、
心折れずに乗り越えるしなやかな力に変わるはず。

ワークショップ終了後”かぞくのアトリエ”のみなさんから、
「ドラえもんを描こうって言ったのに驚きました」
「今まで私たち的にアニメとかNGだったので、これもありなんだなと」
こんな確認のお話。

で、ボク。
「そうですね、こういうワークショップで子どもたちに『自由に描いて』って言う割に、ドラえもん描いちゃダメはおかしいですよね」
「もしくは『こどもらしく』を求めるのならドラえもん描くこと否定出来ないです」
「そもそもオトナが『自由』も『こどもらしさ』もどういうものか考えぬまま、ただそれを子どもに押し付けるのは無理がある」
「ドラえもんも他のアニメもゲームも、今の子どもの風景の一部であれば、それを風景として描けばよくて、それが出来る子どもたちは、ある意味ボクなんかより先を走っているのかもしれないです」
「ただそれだけじゃなくて、想像の余白のあるすぐれた表現に触れるチャンスも与えてゆかなくちゃです」

いや、ドラえもんは素晴らしい文化です。
そんなものをなにも見ずにサラリと描ける力、すごいんだよね〜!

ただ、オトナも負けちゃいいられない!!

です。

“かぞくのアトリエ”のみなさん、
繊細にして大胆な現場のご提供とご協力、ありがとうございました!
ここでしか得られない発見、沢山でした。

で、新幹線飛び乗りで飛騨高山へ。
8月20日は情熱の絵本屋さん”ピースランド”で友人のバロンくん主催の
昼は子どもワークショップ、夜はオトナワークショップ。

代々木で得た熱そのままで飛騨高山の子どもたちと向き合ってみると、
代々木には代々木の豊かさがあって、
高山には高山の豊さんがあるんだなあ〜としみじみ実感。

古い家屋の立ち並ぶ街、高山。
その色彩は黒だったり濃い灰色だったり。

それを「良きもの」として触れ続けてきた子どもたちの色彩感覚。

オトナたちが勝手に思う「子どもたちの好きな色、あか、あお、きいろ、ピンク」に対して、
「黒とって!」「こっちにも黒ちょうだい!!」って声が飛ぶ飛ぶ!

すべての色に黒が混じり込んで、
結果、色彩がとても落ち着いた鮮やかさに。

そんな色彩に出会えてボクは幸せです。

いなかの子どもはのびのびと育っている。

いや、今回集まってくれた親御さんがのびのび育てているのが本当でしょう。

代々木の子どもの密度からしたら4分の1くらいだったけど、
クリエイティブな熱の総量は同じくらいだったんじゃないかな。

ところでひとり、
今回絵を描いたことで、今まで言葉に出来なかったことを口にした男のがいたんだけど、
その後どうしてるかな?
必要だったらまた一緒に絵を描こう。

代々木と高山での子どもワークショップでは、
大きな画面にみんなで一気に描いた絵の中から、
パパママさんたちが心動かされた美しさを見つけ写真に撮影。
ワークショップの最後にスライドショーにしてみんなで見ました。

そこに正解は無いけれど、
心と体の振り切れた美しさはあって、

さらに注意して見ると、
とても豊かななにかを見つけることも出来ました。

こんなワークショップの最大の目的は、
オトナの目を鍛えることなのかもしれませんね。

そして、
高山の夜は大人の部。

思いっきり割愛して語ってしまいますが、
ごくシンプルな表現の中にその人らしさを発見する。

喜びをテーマに手を動かしてもらったら、
みなさんの内側にある色彩が美しい!

特に緑色だな〜。

難しいだよね、ミドリ。

そのまま塗るとどうにもケミカルになってしまうのを、
みなさんそれぞれの記憶を紐解き、掘り起こした心の色と混色すると、
実に深い緑色が生まれたってイメージ。

これは林業の盛んな山間の土地、飛騨高山だからこそなんだろうか?

去年富山でワークショップした時も、大人の表現する緑色が綺麗で、
それぞれの土地にクラス人の心を丁寧に探ってゆくと、
みなさんそれぞれ掛け替えのない「美」を宿しているんだなあ〜と。

もちろん、過去になにか美しいものに出会ったなんて体験が、
アミイゴとか誰だか分からぬ者の絵のワークショップに参加する
モチベーションになっているはずだしね。

もっと多くを語り合いたかったけど、
この夜にお集まりの愛しき緑色を宿すみなさん、
美しきものを見せてくれてありがとう!

企画者で唄もうたってくれたバロンくん、
この場所への導き、ありがとう。

カメラ忘れて、写真ほとんどなくてゴメン、、

そんな高山の経験を経て、
あらためて東京のみんなの宿す色彩に触れてみようと、
池袋コミュニティカレッジで開催の絵のセッション。

ピアノで鳴らす和音を聞いて、
手数を3つくらい限定したシンプルなドローイングにして、
さらに着彩。

音ってすごいな。
みんなの中にあるものが、一気に、しかし品良く吹き出てきた感じ。

みんな美しさに関して自信を持ってくれたらいいなあ。

で、これはいけると、
うちの小学2年ボウズともセッション。

わ!これはすごい。
音の波形を見るオシロスコープみたいだ!!

ちなみに、
鳴らした和音はアリシア・キーズの「if i ain’t got you」で使われている
GM7-Em-Am7-D
あとイントロからの CM7-Bm7

音楽も絵も言葉にならぬなにかが心の扉を開けてくれるんだなあ〜

そんなこんなの夏の経験から、
あらためて絵を描きダンスすることやってみたいなと、
9月3日渋谷の街のそこかしこが音楽でみたされるイベント「渋谷ズンチャカ!」で、
コンテンツのひとつとして「ファンキーお面作りからのこどもディスコ」

これ楽しかったんじゃない!?

そうそう、同じ頃にサッカーの神様ジーコが来日していて、
子どもたちの電話相談に答えるってのがあったんだけど、
子どもたちの「上手くなりたい」「早くなりたい」に対して、
ことごとく「今は思いっきり遊びなさい」「サッカーを好きでいないさい」みたく答えていたけど、

うん、絵もそれでいいと思う。

絵を描いて楽しかった。
その勢いでダンスしたら、楽しさがもっとデカくなった。

うん、それでいいと思うよ。

みんなが表現することを恐れぬオトナになってくれたらなあと。

ただ、それが表現なのか暴力なのか、
オトナはちゃんと見てるよ。

そんなのがいいな。

そんなこと、これから先に秋の新宿の中央公園のフェスで、
福島県の会津の奥の方の町の子どもたちと、
台湾の台北の若い人たちと、
そして第二第四木曜日の池袋でセッションを重ねてゆきます。

明快な答えの無いセッションだけど、
共に未来の方に進んでゆく力は確認できるはず。

池袋セッションは10月12日からはシーズン6が始まります。
心を柔らかにしたい人、真っ白なキャンバスを自分色に染めたい人は、
気軽に参加されてみてくださいね〜
https://cul.7cn.co.jp/programs/program_701881.html

最近のみんなの突き抜け感、素晴らしいんだから!!

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