80ヶ月め

今日は2011年3月11日から2,437日め
6年8ヶ月
80回目の11日です。

昨日から福島県の会津に来ています。
奥会津の柳津という山間の町の子どもたちと絵を描くセッション。

晩秋の美しい山里を歩きながら、
これからの時代を生きる力なんてものを見つけられたらいいなと思っています。

先日は日曜と月曜とで宮城の塩釜、福島市、群馬と巡ってきました。

福島市で1年の奮闘を経過した食堂「ヒトト」のパーティーへのお誘いを受け、
ならば塩釜まで行ってしまおうと。

震災後にお付き合いが始まった養殖漁を営む共栄丸さんの東塩釜の直売所へ。

東塩釜駅から塩釜港の港湾部の海べりを辿って
共栄丸さんのある千賀の浦市場まで歩いて行くってことやってみました。

気持ちの良い陽気の秋の日の午後、べた凪の港は穏やかで、
多くの釣り人がそれぞれの時間をのどかに過ごしているのが印象的でした。

中央市場のような施設も立派に再建され、
地域の新たなランドマークとして輝いて見えました。

東京で暮らし東北の太平洋沿岸部のことを思うと、
「被災」から「復興」という言葉ですべてを考えてしまいがちですし、
首都圏に向けたメディアの報道もそれに特化しているイメージです。

のどかに釣り糸を垂れている人たちの姿をわざわざ伝えるメディアは無い。

もちろん、今でも助けを必要としている人がいることは事実で、
ボクたちはそんな方々への想像力を失わず日々を生きて行かねばなりません。

が、そろそろ「復興」とは別の言葉を使って
ボクたちが必要とする未来の姿を語ることも始められたらいいなと思いました。

歩いてみて感じる塩釜港周辺の豊かさ。
「松島」という景勝地と分母を同じにする塩釜ですが、
漁業や養殖漁、水産加工業や観光業、寿司屋の密度日本一と言われる飲食業、
銘酒を醸す造り酒屋、古い神社やキュレーションの立派な美術館やギャラリーなど、
これまでの「観光」のあり方とちょっと違う、より文化的な発見の出来る町だなと。

共栄丸さんはきっとその辺のこともマルッと内包させ、
「松島」でも「塩釜港」でもなく万葉の昔から使われた「千賀の浦」という地名を、
あらたなアイデンティとして塩釜の湾岸エリアをブランディングしたいんだろうね。

そんなお考えに沿うデザインやイラストレーションを
この地域に使ってもらえることを考えています。

今回共栄丸さんに行ってみようと思ったもうひとつの理由は、
今年の春に出来たという防潮堤がどんな景観を生んでいるのかを確かめること。

意外やボクの身長よりも低かった防潮堤。

港湾部をここまで歩いてきて、
こんな防潮堤が造られていた漁港もあれば、建設中の場所もあり、
今後どうなってゆくのか分かりかねぬ場所もあって、
このエリアの未来の海の景観に想像出来なかったです。

こうしたことが「復興」という言葉で語るのであれば、
ボクたちはやはり新鮮な言語をもって、
「復興」に拮抗させる形で地域の美しさを育ててゆけばいいんだと思いました。

防潮堤を越えると、やはり美しいです、千賀の浦!

市場を訪れた人が、もっと自然とこの景観に触れられるような動線の構築とか、
デザインやイラストレーションの仕事の現場はいくらでも見つけられそうなのが、
今の東北太平洋沿岸部。

共栄丸さんでは相変わらず美味しい思いをさせてもらっちゃって、
ワカメや牡蠣やホタテの美味しさに、ちょっと飲みすぎ。

酩酊の隙間から覗く働くみなさんの明るく元気な姿。

いろいろ大変はあるだろうけど、明るく元気。

そうそう、2012年の冬にこの姿に出会って、
東京で暮らす自分に足りていないもの、
未来を生きてゆく上で失っちゃいならないものなんてのに気づいたんだ。

この姿、家族にも見せたいと思って、新幹線に乗って来たりもした。

あの日から80ヶ月たった今も、
みなさんはボクなんかよりちょっと先の未来を生きている。

次はまた家族と一緒に、
息子にいろんなもの見せながら来たいと思いました。

日曜の夕暮れ近くの港に沸き立つしなやかに力強い群像を背に福島へ。

開店から1年の奮闘の先で
やはり沸き立つしなやかに力強い群像を見せてくれた食堂「ヒトト」

福島の人に請われて開店にいたったオーガニックベースの小さな食堂にたくさんのお客様が、
福島市に限らず、日本の各地から集まってきたパーティー。

ひとつの店を1年の奮闘だけで語ってはいけないし、
「未来」などという言葉で分かった顔して語る気もなく、

明日が無事であること、
出来れば今日よりちょっとマシなものであるように願うことの先に、
この店をしっかりと視野の中に入れてゆきたいと思いました。

そう出来るために、
やはりボクたちは今まで使ってこなかった新鮮な言葉を見つけ、共有し、
語り合うことを続けてゆきたいな。

うん、2年目、3年目がさらに楽しみ!
個人的に福島県に関わる仕事が続くので、これからもよろしくお願いしますね〜!

そんな旅の帰り道で寄った生まれ育った群馬の地。

あらためて多くのものが失われていることに、さすがに寂しくなった。

変わらずそこにあってくれる赤城山を見て、
少なからず気持ちを落ち着け、あらためて、
自分の足元はどうなっているのか考えました。

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