2013 年 5 月 のアーカイブ

ハナレグミMV「空に星があるように」制作ノート

2013 年 5 月 27 日 月曜日

ハナレグミのアルバム「だれそかれそ」からの1曲「空に星があるように」
そのミュージックビデオの制作をしました

フルヴァージョンはこちら↓で視聴できます
http://www.laughin.co.jp/hanare-m/dareso_kareso/

「初監督」というクスグッタイ肩書きが付く今回ですが
ボクがやったのは撮影の手前までの演出と絵作りまで
あとは信頼おけるプロのみなさんが絶大なる力を発揮してくれました

これに関わった誰かヒトリでも欠けていたら生まれなかった
そんな愛しさに貫かれた4分間の唄の風景

撮影終了後のみんな
とてもキレイな顔をしてくれてたのがウレシかったな〜


「だれそかれそ」のために描いた75枚のスケッチドローイング
それを使った「空に星があるように」ミュージックビデオを作ろうと決まった瞬間
この映像のほぼ完成した姿が心に浮かびました

それと同時に
それをカタチにするために必用な人たちの顔が
パラパラパラと浮かびました

そんな方々が集まる現場を想像することは
ボクにとてもクリエイティブな喜びを感じさせてくれるので

この直感を信じて
スタッフとなって下さる1人ヒトリにお声かけしてゆきました
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「だれそかれそ」スケッチ

2013 年 5 月 23 日 木曜日


本日5月22日発売
ハナレグミの新しいアルバム「だれそかれそ」が届きました!

デザイン作業中のイメージをはるかに越え
金色の光に包まれ美しく輝く黄昏の街!

うれしいなあ〜

*アートディレクションとデザインを担当された
 小熊千佳子さんのブログもご覧ください
 http://p.tl/saPe

ハナレグミの永積 崇くんから電話をもらい
ジャケットのアートワークをお願いされたのが
2月の終わりの頃

その次の日の昼には近所レストランでミーティング

「だれそかれそ」は“黄昏”のことであり
その語源となった「誰そ彼」とは

夕暮れ時は出会う人の姿も曖昧で
「あれは誰だったかな?」なんて想像して想う
人のイマジネーションの時

今は色んなことが(歌も含め)説明され過ぎちゃっているけど
人の本来の曖昧さこそ愛しさに繋がるのではないかな?

そんな会話をしたはずです

そして
そんな街もそんなイマジネーションも
失われつつあるね〜

そんな会話
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こじまいづみ「閏」

2013 年 5 月 20 日 月曜日


花*花のこじまいづみさんのsolo album「閏」
CDジャケットの絵を描きました

5月28日、5つの痛いほど愛しい唄を抱え、世に出ます。
http://www.otoshigoro.com/

震災から2年目の頃
彼女の痛愛しい唄を無性に聴きたくなっていて

そしたら
彼女がレコーディングするらしいという情報が聴こえてきて

「アルバムジャケはオレにまかせろ!」
「今のボクなら、かならずキミの望みに答えられるぞ!」なんてね
曲も聴いてないうちに勝手な確信を膨らませていたら
まんまと本人からオファーが届いたのでした

そのレコーディングが
彼女の生まれ育った兵庫の加古川のホールで
唄とピアノだけのシンプルなスタイルで行われること

そのピアノが飛び切りよい音したベーゼンドルファーだってこと

これはもう現場に立ち合い
絵にするのが一番だろうって

そのスケジュールがちょうど福岡での仕事と重なっていたので
福岡から東京への帰りは新幹線にして姫路下車
そこから在来線で逆走し
初めましての町 加古川へ
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ソニアパークの東京マニュアル2013

2013 年 5 月 18 日 土曜日


casa BLUTUS 6月号のブック イン ブック
ソニアパークさんのTOKYO MANUAL 2013 のアートワーク
http://magazineworld.jp/casabrutus/159/
1冊マルっと担当しました


特に海外からのお客様に向けて
ほんとにcoolな東京に出会ってもらいたいと願う企画
そこにソニアさんから指名して頂いての仕事

「今までに無いカッコいいものにしたい!」という掛け声のもと
ソニアさんの絶対にブレ無い美意識をトレースしていった作業となりました
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大阪池田Largoでのワークショップ

2013 年 5 月 17 日 金曜日


5月11日12日は個展「東日本」開催中の
大阪池田のギャラリーLargo主宰で
ボクの「だれでも絵が描けるワークショップ」

先頭にアップした写真は11日の夜生まれ
「40年ぶりくらいに絵を描いた」と言ってたご婦人の作品

カワイイです
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「ちいさいトラック」げん画展

2013 年 5 月 14 日 火曜日


福音館こどものとも年少版5月号で作画を担当した絵本
「ちいさいトラック」の原画展をちいさいカフェで開催します

「ちいさいトラック」げん画展
渋谷区富ヶ谷のカフェ“ルシャレ”
2012年ねん5がつ16にち~26にち

あさ10じから よる7じはんまで
きんよーびは よる10じくらいまで
にちよーびは ゆうがた6じまで

ルシャレ
とーきょーとしぶやくとみがや2-43-13
でんわ 03-3468-2456
ちず <クリック! ルシャレはちいさいカフェ なかなかの人気店で満席の場合もありますが まずはお店のねーさんにひと声かけてみてください このトラックに似た顔したカワイコちゃんだしね! でもってコーヒーのんだり それはそれは有名な天然酵母パンを買ったり お子さん連れもウエルカムだし 帰りに代々木公園でブラブラしたり ユッタリたのしんでもらえたらです ボクの家から3分くらいなので 声をかけてくれたらおつき合い出来るかも?だし 近所の人気店情報なんかも教えますよ〜 で、もちろん「ちいさいトラック」も販売しますよ!
410円だよ〜

26ヶ月め

2013 年 5 月 12 日 日曜日


今日は2011年3月11日から2年2ヶ月
792日め
26回目の11日でした

ボクは大阪に在って
「東日本」というタイトルの個展に合わせたワークショップを開催していました

そんなチャンスを得たからこそ
大阪の手前で東北に行ってこようと
5月5日に仕事の予定を急遽変更
宮城県の塩竈を目指しました


3月11日後
真冬や真夏に足を運んでいた東北ですが

桜の花の咲く頃の東北を知ってみたいと

タイミング的には1週間ほど遅かったのですが
それでも
長い冬を越え命萌え出す自然の美しさと
人のシナヤカな美しさとに出会うことができました
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「六月の認知の母にキッスされ」

2013 年 5 月 10 日 金曜日


中央公論での ねじめ正一さんの連載小説
「六月の認知の母にキッスされ」
1年間の連載で挿絵を担当します

母親の認知症や介護といった
リアルで切実で難しい問題を扱いますが
朗らかな心で描き通せたらと考えております

みなさん1年間のおつき合い
どうぞ宜しくお願いします。

Kinfolk workshop

2013 年 5 月 4 日 土曜日


4月29日に参宮橋のLIFEsonで開催されたKinfolkのワークショップ
Flower Potluck & Light Spring Fare に参加し
持ち帰った花を絵にしました
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うた

2013 年 5 月 1 日 水曜日


2月の終わりの頃、ハナレグミの永積くんから携帯に連絡をもらい
アルバム「だれそかれそ」のアートワークを担当することに

次の日にはウチの近所でランチミーティング

彼が白い紙に書いてきてくれた曲順表を眺め
文字で構成された風景が彼の唄そのもののように感じて
「これはなんなんだ?」としばらくフリーズ

その次の瞬間
心の中でジワジワと音が鳴り始めたと思ったら
一気に唄が押し寄せて来たという経験

唄はタイムカプセルだなあ〜
10年、20年なんて時は一気に飛び越え
「あの時」に連れて行ってくれる

そんなことを思い
そんな会話を彼としたのだけれど

その後
彼の唄ううたを抱え
街を廻り絵を描く作業の中で

いやいや唄がタイムカプセルなんじゃなくて
ボクが時の固まりなんだと

ボクが生きてきた時が
その場面ごとに沢山のヒキダシに小分けされ
ボクの心だか身体だかに納められている

そのヒキダシを開ける鍵が唄だってこと

しかし
実際に唄をうたうのは
ボクとボクの過去の時間とで組んだユニットなんじゃないか?
なんてことに気付き

ただ、その鍵がナマクラだったり錆びていては
時のヒキダシは開くはずはなく

逆に 永積 崇という人の唄が鍵となるのであれば
ひとつの唄でいくつものヒキダシが開いてしまうんだあ〜

白い紙にテレたように
そのくせ妙に切実な筆致でもって書かれた
(こんなのボクには描けない!)
「懐かしの曲」の愛しき名前たちを眺め

オトナと呼ばれる年齢になった男が
青色のペンで文字の一部を塗りつぶす行為が
どんなことなのか考えながら

ボクに唄が押し寄せてきたのではなく
ボクが唄い始めていたんだって

その瞬間「懐かしさ」なんて感情は雲散し
ただ今この瞬間の衝動だけが渦を巻いて
心と身体から飛び出してゆく

さて
ボクはこの曲順表を見て
もはやすべての唄をうたってしまったぞ

では
ハナレグミはこんなタイトルの曲を
どんなふうにして唄うのだろうか?

そんな興味はこのアルバムを
まるでハナレグミのデビューアルバムのような質感として想像させ
アルバムに納められる唄はすべて
偶然にも「カバー曲」というタイトルのつくオリジナル曲なんじゃないかと

そんなワケの分からぬ想像のジャングルに追い立てられたボクは
ああーー楽しい!と街に飛び出してゆくしかなかったんだ

18年前に永積 崇の唄というものに出会い
少なからずの衝撃を受け
(その直前はeliちゃんであり、その直後は宇多田ヒカルだ)

彼のいくつかの唄は
今も日常のあらゆる場面で心の中で鳴り続けてくれ

「サヨナラcollor」や「家族の風景」なんて曲は
その出産に立ち合ったような
今では親心さえ感じる曲でさえあるけど
(サヨナラから始めることが肝心なんだぞ!コラ。なんてね)

しかし
もちろん彼のすべての曲がボクにフィットするなんてことはなく

ボクみたいなヤツが
「ハナレグミ、サイコー!」みたいな立ち位置に居ては失礼だなあ〜と

同じ時代の尊敬出来る表現者として
その表現とキッチリ向き合い続けられるよう
キチンとした距離感を保って接してゆかねばなあ〜
彼の表現に答えられる自分の表現も磨かねばだな〜
いやいや、ボクの絵こそ唄のようでありたいなあ〜とか
そんな思いに駆られた10年後の「だれそかれそ」

まずは
「ウイスキーが、お好きでしょ」SAYURI
そう来たかあ〜!

そして
「接吻 Kiss」ORIGINAL LOVE!
「いっそ セレナーデ」井上陽水 だって!

そうなんだよね〜
彼にはこんな官能的な唄をうたってもらいたかったんだ
こんな唄を必用としている女性が
黄昏時に白い軽ワゴンを走らせ
郊外の巨大なショッピングモールに向かう県道に連なっている
そんなんが今の日本のホントウの風景だからね

だから
「中央線」や「プカプカ」なんて曲は
ハナレグミのオリジナルように感じるし

「オリビアを聴きながら」や「ラブリー」なんて
タイトル見ただけで笑えちゃう
オレが子育て中のママだったら
白い軽ワゴンのアクセル踏み込んじゃうでしょ!

そして
「空に星があるように」

「多摩蘭坂」かあ〜

ボクの「KING of 鼻唄」ではないか

たまらんなあ〜

小さなCLUBの深夜2時とかに
ゲロ吐きそうな顔して1曲1曲を絞り出してたタカシくん
それを見守っていたあの頃のボクと
今もボクは何も変わっていないなあ〜と

そう思ってこの手書きの曲順表を眺めてみると
やっぱこのアルバムはボクにとって
ハナレグミのデビューアルバムのように感じるんだ

そんな個人的なものを仕事に盛り込んでしまっては
プロとしてはイケナイのかもしれないけれど
そんな個人的なものに共鳴するのが唄だからなあ〜
なんとか多くの人とこのアルバムを共有出来るようにって
絵を描きまくった話は後ほど

ちょっと思い出した
かなり恩着せがましい想い出をひとつ

このアルバム制作よりずっと以前
インターネットはもちろん携帯さえ持っていなかった時
彼から連絡をもらって
「今度結婚式でうたうことになったんだけど、”Just the Two of Us” の歌詞わかりますか?」って

彼が官能的な唄をうたおうとしていることがウレシくて
「もちろんわかるよ!」「レコードあるから、歌詞カードコピーするよ」って

ボクは東京に居て
レコードは群馬の実家にあって
でもそのことは内緒で
その日のうちに群馬まで行って歌詞カードコピーして
次の次の日くらいには彼に渡したって話

こう書いて今気がついたけど
その電車賃で同じレコード3枚買えたよねっ!

なんだけど

ボクにとって唄ってそういうもんだし
好きな唄の刻まれたレコードってそういうもんなんだ〜
ぜっ!

今思い返してもそうすることが正しかったとしか思えない
相変わらず愚か者なボクの 永積 崇という人の唄との再会の時は

人の愚かさや可笑しさや淋しさや悲しさやなんかやも
曖昧にして見せてくれる「たそがれ」という時

そんなこんなを言葉にしたかったので
御本人の承諾を得て手書き歌詞カードをスキャンして
紹介させてもらいました