61ヶ月め

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今日は2011年3月11日から1859日
5年1ヶ月
61回目の11日です。

ただいまボクの「東日本」の作品群は、
山口県湯田温泉のライブハウスOrgan’s Melody で展示されております。

震災以降、ボクの活動を心の拠り所として考えてくださっていた、
オーナーの福田英三さんから熱いメッセージをいただき、
その心意気に答えるべく作品を委ねました。

20日まで、なんらかのライブが開催される中、
ライブの無い昼の時間でも作品も見ていただけますので、
お時間あるかたはぜひご高覧くださいませ。
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先日は九州へ。

4月2日3日と福岡市の競艇場で開催された
フリマと食と音楽とアートのピクニックイベント、SEA PICNICに呼んでいただき、
二日間にわたり子どもたちとセッション的に絵をえがくワークショップ。

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10年以上通い詰めた福岡ですが、
今まさにこういった現場が必要とされているってこと、
明快に感じた今回。

とても良いタイミングで呼んでいただけたはずです。

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で、そこは九州福岡。

街に暮らす人たちのオープンなマインドはそのままに、
うわっーっと集まってくれた子どもたちやパパママじじばばの皆さんと、
祇園山笠並みの勢いで筆をふるって、
「おいさ」「おいさ」とあっと言う間に絵を描きあげました。

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いつもは子どもたちが絵を描くマインドを開いてゆくため、
いくつかの段階を踏んでゆくのですが、
福岡ではひとつふたつの段階を飛び越え、マインドが開いていった印象。

で、2日目のセッションで気がついたのは、
親子や友だち同士での会話に
オープンな音の響きがあるなということ。

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母音がはっきり発語されたり、
語尾が上がって会話が終わるとか、
九州の言葉ならでは発語の構造があるし、

商都博多ならではの慣用句の多さが、
発語が思考に邪魔されないなんてこともあるだろうね。

会話って身体を使った表現でもあるから、
そこがオープンであることで、
やはり身体を使う作業である絵を描くこと、
その表現の1歩めにスムースにアプローチ出来るってイメージ。

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寒い地方でこのようなセッションを行う場合、
やはり、ひとつふたつの手順が増えるし、
身体を動かし描く楽しさの以前に、
思考が働く傾向があるなあと。

ただ、そのどちらが優れているということではなく、
どちらにしても、
目の前の子どもたちとのコミュニケーションを丁寧にやってゆく限り、
結果、子どもたちは伸びやかな表現をしてくれるわけで、

オトナであるボクがなにかをジャッジするより、
いつか、福岡の子どもたちと、
たとえば被災地なんて呼ばれている土地の子どもたちと、
セーノで絵を描き、それぞれの違いに戸惑いながらも、
ドロンドロンの絵の世界でひとつになってゆく、
そんな経験の現場を作るのが一番なんじゃないかと思ったな。

そういうの誰か一緒に企画しない?

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ワークショップ初日には、
車椅子で来てた男性が終始楽しそうにこのセッションに参加してくれていて、
絵を描き終えた後、なんやかや話しをしてみたんだけど、

ワークショップ参加の双子のかわいこちゃんのパパさんでもある人は、
これからのチャレンジすべきこととか、
普通初対面だとなかなか語らないであろうことなど話してくれ、
ボクも思うままを言葉として返して。

そういうことって、
さっきまで子どもたちが元気に身体を動かし仕上げたデカイ絵がひとつ、
目の前にあってくれるからこそ出来る「気兼ねのなさ」ではないかなと。

これはひとつの例であって、
こういった活動の必然を感じている人が、
福岡以外の遠くからも足を運んでくれ、
気兼ねのない空気の中で、それぞれ感じたことを言葉にして残していってくれた時間。

ボクは子どもたちとの、
一瞬一瞬のコミュニケーションに全エネルギーを注がなくちゃで、
オトナのみなさんとちゃんと考えを交換出来なかったはずですが、
しかし、次へのきっかけは生まれたはず。

次の場所、共に創ってゆけますよう。
ご参加ありがとうございました!

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SEA PICNIC という企画事態、
良い意味で人の猥雑さや下世話さがマスキングされておらず、
こういったフェスにありがちな「集まる人の同質感」も薄く、
その辺やはり、ボクの好きな福岡の顔をしていたイベントでした。

初回ということで、いろいろ大変だっただろうけど、
もし次があれば、変にまとまることなく、福岡らしい現場であり続けてもらいたいです。

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主催は人ったらしのbingobongo宮野くん。

自身の考えを形にするべく、
孤軍奮闘する姿ばかりが見えた今回だけど、
ぜひぜひ若い人を育てていってくださいね〜!

今回は絶妙のタイミングでのお声掛け、ありがとう。
PEACE!!

で、次の日は九州をグッと南下。
熊本の津奈木町を目指しました。

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博多から新幹線で熊本まで、
そこから在来線で八代。

八代で肥薩おれんじ鉄道に乗り換え、
今まで見たことの無い穏やかな表情の海、
不知火海に沿って南下。

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1時間ほどで津奈木町へ。
今年2月に上梓された水曜日の手紙集「赤崎水曜日郵便局」の表紙で、
ボクが描いた赤崎小学校をめぐる風景と初対面です。

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出来るだけ本物を見て描くことを心がけているボクですが、
この仕事はあえて見ないことで、ファンタジーが担保されたんだと思いました。

そして、描いた後でこの風景に出会えたことで、
次の仕事で生きる経験を得たはずです。

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東北の三陸海岸と同じくリアスの地。

海岸線に沿った深い入江に集落が点在する風景は、
たとえば気仙沼の唐桑半島で出会った人の営みと重なるものです。

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そこに気候や風土、地政学的な違いがあり、
人の気質の違いが生まれる。

唐桑を知り、赤崎を知ることで、
加速する想像。

だれだろう?
初めてこの土地で暮らそうって考えた人は。

そんな想像がほんと楽しい!

もしくは、
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東北の沿岸部では、
2011年ん3月11日に、
この土地で言えばこの辺りまでを津波で失ってしまったのか、
という想像。

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今回、短い時間ではありましたが、
つなぎ美術館の学芸員であり、
「赤崎水曜日郵便局」の編者であり楠本智郎さんに、
この土地を的確に、丁寧にご案内いただけました。

ご案内いただく間にうかがった、
この土地のことや、ここであったこと、やってきたこと、
もしくは、町営の美術館「つなぎ美術館」の
町のサイズに合ったちょうど良い規模とか、

そこに向ける楠本さんの視線の確かさに、
地方でアートプロジェクトを進めて行く上で必要なことの
多くを感じることが出来ました。

また、津奈木町役場へもご挨拶に。
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町長さんであられる西川裕氏はじめ、
アートプロジェクトを推進される方々にお会いするチャンスを得ました。

ちょっとの時間での会話でしたが、
西川さんのアートに関する認識が、
とても「今」にフィットしたものであったのに驚き、

こういったローカルのアートプロジェクトは、
一部の「わかってる人」だけで進めるものではなく、
その土地に暮らす1人ひとりの意識を目覚めさせ、
プロジェクトにちょっとでも参加し楽しんでもらうことが、
作品を創ってゆくこと以上に重要なんだと感じました。

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駆け足の津奈木町フィールドワークでありましたが、
しかし、行ってよかった!

この経験をもって、
あらためて東北の海岸線を歩いてみたり、
土地に暮らす人たちと言葉を交換してみたりしたいな。

で、
津奈木町、もしくは赤崎。
またうかがいますね〜!

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あ、
津奈木町、
新幹線で新水俣まで行ってしまえば、
かなり楽に着けるとのこと。

でも、肥薩おれんじ鉄道ののんびりとした風情も、
捨てがたいなあ〜

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