気仙沼でコドモたちと絵を描いた


3月17日と18日は
宮城県気仙沼の港の近く“復興屋台村気仙沼横町”で
スズキコージさんとボクとで大漁旗に絵を描くワークショプ

コージさんは作家として自分の作品を3点仕上げ
ボクはコドモたちとのコラボレーションで7点を描き倒しました


初日は冷たい雨の中で15名ほどと
日曜日はのべ30名ほどとの格闘

仕上がった絵の素晴らしさ以上に
コドモたちのエネルギーが素晴らしかった時

他の土地では手に出来なかったたくさんのことに
気がつかされた時間にもなりました

大漁旗なので「大漁」と書かなければなりませんね

なので、
コドモを布の上にゴロリン
「大漁の“大”のポーズをしてー!」と

大の字になったコドモのアウトラインを引いたら
となりに「漁」と書いて

あとは
「なにを描いたら大漁かな〜?」と呼びかければ

コドモたちは心のアクセルを踏み込むだけ

ボクは心にブレーキがかからぬよう
オトナとコドモの間で身体をは張るのが仕事


一気に仕上がる作品に
オトナのみなさんビックリ

描き終えた作品の前で大の字ポーズ

絵も素晴らしいけれど
描いたキミらがやっぱスバラシイ!

以下は偶然のコラボレーション
出来上がった大漁旗を並べると
「大」と「大」とが繋がって

みんなで手をつないでいるみたい!

そんなわけで
大漁旗を作ることに関しては
スバラシイのひと言でワークショップ終了!

ただ、
絵を描くということに関しては
紆余曲折のあった今回

気仙沼から帰り
そのことをグルグルと考えていたら
なかなかコトバにならないものがあったなあ〜

以下、
それをコトバにしてみます

まず
今回のこういった試みに関して
想像以上に地元の方の期待を持っていてくれたということ

その上で
ワークショップにも取材が入ったりするのだけど

コドモの表情や手元を押さえるために
カメラが絵の画面にまで入り込んでくるのを
制止することが何度かありました

ボクはそうされる取材スタッフや写真家さんのご好意を
ウレシく感じるのですが

ただ
「その場所に1歩踏み込んで赤を置きたい」
その瞬間その場所にカメラがあったら
「描きたい」や「創りたい」が一瞬でしぼんでしまうよね

もしくは
「描きたい」気持でカメラを蹴飛ばしたり
絵の具を着けてしまったり

ボクもワークショップ中に写真を撮るけど
それはコドモたちが描いている姿から距離を置いて
結果、
みんなダンゴムシみたいなカッコウで写ってしまうのだけど
ボクはそんな姿にこそ熱を感じる

絵を描くのに熱中しているコドモたちにとっては
そんなダンゴムシのようなカッコウこそ
カッコいいことなんだと思うけど

それと
オトナの求める「コドモらしさ」には
ギャップがあるってことなんだな

もしくは

ペンや筆を手にするところからして
クリエイティブにブレーキをかけちゃいけなくて

これも大変有り難いことであったのだけど
スタッフの方が元気な声で「自由に描いていいよ!」などと
コドモに声をかけてペンを渡してくれたりだったけど

実はそこで「自由」というブレーキが働いてしまう場合があって

そのことでスタッフさんに
「その部分もボクに任せてください」なんてね
イヤミに思われかねない感じでお願いしたり

ボクの画材の手渡し方は
とっても破壊的というか投げやりというか
まあヒドいもので

それでもスイッチが入らなければ
ボクがバカになりきってサンマ描いたりドクロ描いたり

コドモも「こりゃヒドいな、じゃあ描いてやるか」みたく

そして
はじめはモジモジしているコドモも
小さな点を1コ描いたりするんだけど
その1コの点から「次」の想像が始まる

その最初の1歩を自分で発見出来たら
最後にはデカイ筆で腕を振り切って
真っ黒をグイっとか塗っちゃったりして
傑作へまっしぐらだね!

ここでも
オトナの思い描く「コドモの無邪気な姿」と
実際にコドモたちが見せる徹底的な破壊活動との間に
ギャップを見つけたなあ〜

破壊的と言えば
女の子4人で参加してくれたグループがあったけど
これがなかなかいい感じで生意気!

ある意味殺気立ってさえいて
それぞれに何か叫んだりしながら絵をガシガシ仕上げてゆく

この野獣なパワーは間違いなく傑作を生むな!なんて思っていたら
真っ赤な絵の具で「復興するぞ」なんでドデカク描きこんで

これはもうビックリ

そう言えば
他の旗でもどこかしこに「復興」へのスローガンが書き込まれていて

そう言えば
他の土地であればアンパンマンやピカチュウを描く子が必ずいて
先生や親御さんから「ダメ」なんて言われて
しかしボクが「学校や家で怒られることやっちゃっていいぜ!」
なんて言ってあげると
スゲーいい笑顔を返してくれる

そんなエピソードがあまり無かった今回

それでもヒトリの男の子が
小さくトラックとロボットを描いていたのを見たけど
やっぱ好きなものはキラキラ輝いてるなあ〜と

取材の人に
「こういうところこそ押さえなきゃですよ!」なんて言ってしまったくらい
楽しいが唄っている感じ

いやいや、みんな楽しく描いているけれど
それでもコドモなりの心を「頑張って」働かせ
オトナへのエールとして手を動かしているんだね

好きなものだけ描けば良いというワークショップで
「復興」というコトバを選んだコドモたち

心に突き刺さるなあー

その「復興するぞ」の「ぞ」の字をダレかが潰してしまい
描いた女の子が怒っていたけど
「復興する」の方が強いべ!と言ってあげ
つぶれた部分に笑顔を描いてやったら
彼女も笑顔になった

でもって記念撮影

その時の笑顔が素晴らしくて

それこそ出来上がった作品よりも
「3月のある日にみんなで集まり心と腕を振り切って絵を描いた」てことが
スバラシイことだったんだと思えました

スバラシイと言えばこちらも

基本、男の子2人と女の子1人で制作進行していった旗

ひとりの男の子がなかなかのカラーリストで
もうひとりの男の子がディレクター肌で
女の子は何物にもとらわれない自由人

そんな3人だから意見が合うはずも無く

しかし
要所要所で交通整理をしてあげ
何より1人ヒトリの良い部分をコトバにしてあげたら
コミュニケーションが熱く深まっていったっこと

そうして描いている中でも
破壊的な状況は起こるのだけど
一度コミュニケーションのきっかけを与えておいたら
絵を描くこと以上にコミュニケーションに興味を持ったような

でもって傑作完成

これはオトナも見習っちゃていいぞ!

もしくは、
コトバで伝え切れないこと
ひとつ手を動かしたなんでもない絵で
穴埋め出来るぞー!

そんな大発見の気仙沼


他の土地でも回数を重ねてきたワークショップだけど

気仙沼では
キレイに仕上がりそうになっている作品を
グジャグジャと潰すように色を塗る子が何人もいたのが
今までにあまり無いコトでした

3月11日の震災後
線がギザギザに震えたり
暗く冷たい色を使って絵を描くコドモが増えたという話を聴き

しかし
そんな中にも美しさを発見してあげるのがオトナの仕事だと思いました

今はギザギザの線を描くという個性のコドモを丸ごと愛し
そこからスタートして
一緒に美しいものを探してゆけるような
生活の中でのちょっとした余裕の創造

そのためにボクのような仕事をしてきた人が
活躍出来る時がそろそろやってきたように思いました

グシャグシャっと塗られた部分でも
そこにはコドモが手を振り切った美しさを見つけられることが出来ました

それは「憤り」や「怒り」や「痛み」や「恐れ」や「悲しみ」の表現かもしれないけれど
それは絵として描かれたものであり
ボクたちはちっとも恐れることは無く
むしろ今まで出会ったことの無い美しさであったり
「cool」とか「カワイイ」とかのコトバに置き換えることさえ出来るもの

「これ、カッコいいね〜!」なんて言ってあげると
ちょっとためらい
次の瞬間に得意そうな笑顔を見せてくれるコドモたち

その次の瞬間に
「あの子が描いたアソコも、キレイだねー!」なんて言ってあげると
今までに無く真剣に人が手を動かした跡を見つめ
何かを見つけたようなヨロコビの眼差しを見せてくれる

それは
オトナがコドモに求める「子供らしさ」とはズイブンとかけ離れた
オトナっぽい眼差しだったりしました

そんな眼差しの向うに
希望を見つけ出すのは1人ヒトリの問題なのだけど
見つけようとする限り
同じ方向を見て力を合わせてゆける人をみつけられるはずだって
そう信じさせてあげるのもボクらの役割だな〜

これは困ったぞ!

また行かねば!
気仙沼!

また一緒に絵を描こう
KSN48なみんなー!

ご協力頂いたみなさま
ありがとうございました!

2012
0317
0318
PEACE!

コメント / トラックバック 2 件

  1. ゆうこ より:

    なんども見ちゃいます。色がきれいで、その時の様子も伝わってきて、子供たちの絵、すごいな~、そこでの小池さんのポジションどりも難しそうだけどすばらし~な~。。

  2. 小池アミイゴ より:

    >ゆうこさん。
    コドモたちは、放っておく限り美しいモノを創るよね!で、放っておき過ぎると、飽きて破壊に入る。それを繰り返しつつ、どこで筆を置くのか。その見極めが難しくて、今回も最後の最後でコドモが暴走するのを捕まえ切れなかった。でもしかし、だからこそ発見出来る美しさもあって、ともかく面白い!

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