ハナレグミMV「空に星があるように」制作ノート

ハナレグミのアルバム「だれそかれそ」からの1曲「空に星があるように」
そのミュージックビデオの制作をしました

フルヴァージョンはこちら↓で視聴できます
http://www.laughin.co.jp/hanare-m/dareso_kareso/

「初監督」というクスグッタイ肩書きが付く今回ですが
ボクがやったのは撮影の手前までの演出と絵作りまで
あとは信頼おけるプロのみなさんが絶大なる力を発揮してくれました

これに関わった誰かヒトリでも欠けていたら生まれなかった
そんな愛しさに貫かれた4分間の唄の風景

撮影終了後のみんな
とてもキレイな顔をしてくれてたのがウレシかったな〜


「だれそかれそ」のために描いた75枚のスケッチドローイング
それを使った「空に星があるように」ミュージックビデオを作ろうと決まった瞬間
この映像のほぼ完成した姿が心に浮かびました

それと同時に
それをカタチにするために必用な人たちの顔が
パラパラパラと浮かびました

そんな方々が集まる現場を想像することは
ボクにとてもクリエイティブな喜びを感じさせてくれるので

この直感を信じて
スタッフとなって下さる1人ヒトリにお声かけしてゆきました


撮影と編集、もっと言ってしまえば
限りなく監督に近い役割でお願いしたのが
福岡で製造制作のプロダクションを主宰されている志自岐哲郎さん

昨年福岡でのイベントで知り合い
映像制作をして下さった方

その時の空気感や仕事っぷりに惚れ込んでのお願いです

「空に星があるように」は1960年代に荒木一郎さんがヒットさせた曲

人生の先輩でもある志自岐さんであれば
原曲とハナレグミの今に架け橋を渡してくれるはずだし
お友だち目線でないところで永積くんの人としての色気に迫ってくれるはず


志自岐さんはこの話に手弁当で臨んでくれただけでなく
盟友のカメラマン丸山玲一郎さんにもお声かけ下さり
現場をプロとしての緊張感と気配りで満たしてくださり

まさにボクの望む
そしてハナレグミを愛するみんなが出会うべきである
永積崇という人を描いてくれました


空間を提供してくれたのは
早稲田にあるギャラリー兼工房LIFTの八木良介くん

ここ数年彼とは決定的にクリエイティブな現場をいくつも創ってきて
しかしお互い「自分の売り方」はヘタだからな〜、

今回初めてメジャーグラウンドの現場で
お互いのプロを認めあって空間を創れたこと
とてもウレシいことでした


「空に星があるように」の映像イメージは
『夏の始まりだか終わりだかの頃、黄昏時に夜の色が忍び込む街角』そんな設定

いつもの街であるけれど
黄昏時の光の影の間で親しみが深い分だけ感じる孤独
見回せば名前も知らぬ人ばかりが行き交う街だけど
だれもが孤独と共に街を歩んでいるのだと想像出来れば
自分の孤独は愛しさに変わってゆくなあ〜と

「空に星があるように」「街にはボクがいて」「キミもアナタも誰そ彼もいる」

そんな街を行き交い
ふと歩を止め
空を見上げる人たち

映像にご出演願った1人ヒトリも
やはりこのテーマを頂いた瞬間に顔が浮かんだ人たちでした


ダンサーの板垣あすかさんも
ここ数年でなんどか現場を共にしてきた方

キューバでダンスを学んだクールビューティーです

立ち姿のキレイさはもちろん
音楽への深い解釈とバックビートを理解した呼吸が出来るので
ユッタリとした流れの曲にグルーヴを感じさせてくれるはず


岡山県在住の石浦 飛くんも10年来の付き合いになりますが
音楽や唄に対する勘がずば抜けて良くダンスも踊れて
それでいてボクに対するボケ役の位置にいてくれるので
撮影の空気創りには欠かせない人でした


群馬県在住の竹田麻美さんは看護の現場(だっけ?)に立たれている
20代のミュージックラバーなカワイコちゃん
去年グンマの高崎のイベントで出会って
その現場での「無垢な愛され感」が心に残っていて
そんな熱で4分間の映像を温め続けてもらいたいな〜と願いました

井出佳美さんは東京在住のイラストレーター
ボクが絵を学んだセツモードセミナー出身で
夜の街を呑み倒した仲間です
ボクの知る夜の街や中央線沿線の雰囲気を画面に与えてくれる人
でもって足がキレイなんだよね〜


岩間湛教さんは山梨県のお寺の住職さん
山梨の富士川町で子育てと共に地域づくりにも取組んでいて
多くの音楽家とも親交を厚くしている方です
その昭和顔と何事にも興味を持ち研究に没頭する姿
どんな凝った装飾にも負けぬ存在感を画面に与えてくれます

急遽飛び入りしてくださった笠原隼人さんは
映像のプロとしてのキャリアを積まれてきた方で
今回ビクターの担当者から紹介して頂き
現場のサポートをしてくれてましたが
なにげに1番ハナレグミのファンぽいカッコだったなあ〜

そんな1人ヒトリは全員初対面
もちろん永積くんとの面識も無く
人と人が混じりあう当たり前の緊張感を作ることが出来ました

そんな緊張感の中でも孤独な唄を絞り出さずにはいられない人
ボクが抱き続けていた永積崇という人のイメージはそんなです

野外フェスで多くの人に微笑みと笑顔を与え
緩やかなコミュニティーの中で自由に唄を紡ぐ
そんな「陽」のイメージの裏側で

少年期に出会った孤独はそのままに
誰そ彼見分けの付かぬ暗闇の中で唄い続ける個性

そんな人の顔を
ハナレグミを愛する人たち
もしくはこれから出会う人たちに向き合わせるべきだなあ〜と

それが今回ボクが一番に願ったことだけど

実は永積くんこそ
その決意というか確信というかを持って臨んだ撮影ではなかっただろうかね?


撮影前夜からの作業に立ち合い
撮影の背景で流れるボクのドローイングの映像に対して
細やかな心づかいと愛を持った意見を注いでくれた上に
心置きなく大きな表現を置いていったのは永積くん本人でした


そうやって始まった撮影は
結局ボクがいつも創っているLIVEの現場であったな〜

ビデオが回り始めたら
ボクはもはや「絵」を追う事はせず
ただただ一緒になって唄っただけ

出演してくれたみんなにお願いしたことも
「一緒に唄おう」ということ

人が唄をうたう風景は美しい
その確信がブレないでいれば
あとは志自岐さんと丸山さんが
経験と情熱を持って記録してくれます


撮影がひと息つき
ケイタリングをお願いしたPaddlers Coffeeで一服

こんなコーヒーの一杯をみんなで分け合って呑むってことが
至福のことに感じられた作業終了


最後に関わってくれたみんなへ永積くんが数曲唄ってくれたけど
「この感動は墓場まで持って行って良し!」と思えた時になりました

今までだってこんなパーソナルな唄のシーンは
何度も出くわしてきたけれど

それでも
みんなして真摯な気持ちで取組んだ時間があったからこその唄は
いわゆるサプライズとは一線を画した掛け替えの無いものであり

その後の映像の編集に熱い血を与えてもくれるものでもあったし

これからボクたちがどんなものを創って生きて行ったら良いのか
そんなことを確認させられた唄でさえありました

永積崇くん、ありがとう。


この現場を創るあたり
ボクのような馬の骨に絶大なるサポートと信頼を寄せてくださった
事務所及びビクタースピードスターのみなさん

スタイリング等
いつものハナレグミの仕事を安定感を持って与えてくれたみなさん

とっさの機転を現場で働かせてくださったみなさん
そんな1人ヒトリが創った作品でもあります

決して派手な作品ではないけれど
込められた熱量はとてつもなくデカく
なにより
永積崇って人の唄う姿がセクシー!!

そして
1日限りで日本の各地へ散っていったチームハナレギミ

今はみんな
愛しくてしょーがねえや!

オメーら!好きだー!!

2013
0508
PEACE!!

コメント / トラックバック 2 件

  1. くりん より:

    このMV、好きです。
    16日、幸運にもキチムでこの世界に浸ることが出来て、
    ほんとうに幸せでした。

    スケッチ画がどんどん胸に迫ってきて。
    白と黒のモノクロの世界にあって・・・
    こんなにもたおやかに鮮やかに胸に届くなんて。

    “空に星があるように”を聴くたびに、
    この時のことを思い出します。
    優しい空気に穏やかに包まれてた時間を。

    ありがとうございました。
    素敵な思い出になりました。

  2. 小池アミイゴ より:

    >くりんさん。
    コメントありがとう。
    そして、キチムの夜をご一緒できてうれしかったです!!

    この映像は派手なものではなく、
    オリビアの勢いにノマレギミですが、
    しかし、大きな波に呑まれても生き続けてゆくような、
    そんな気がしております。

    10年後のある日、
    あの頃の永積崇さんはあんなだったよな〜、とか、
    東京の街はこんなだったよね〜、とか、
    キチムの夜は幸せだったなあ〜とか、
    思い返す役にたてたらなあ〜と願っています。

    そして、
    そんなふうに幸せに思い返せるような生き方してきたいっすね!

    ではまたどこかで〜!!

コメントをどうぞ