新宿(荒野へのエピローグ)

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新宿という街に潮目を見るとしたら、
それは土曜日の午前10時から15分とか20分の間に
見ることが出来る。

1月23日の土曜日、
ボクたちは小田急線とJRを繋ぐ改札辺りで
午前10時に待ち合わせた。

実際に顔を合わせたのは10時を5~6分過ぎてからのこと。

その間、ボクの前を通り過ぎる人たちは、
急ぐわけでもなく、イタズラに倦怠を引きずるでもなく、

ただ“1月23日の土曜日”というどうしようも無い日付けにおいて、
“どうしようも無くやらねばならぬ大して重要でない用事”を済ませるため、
新宿という駅を利用しているだけなんだ。

その数分前までは、
金曜の夜が作り出した倦怠のすえたような匂いが漂っていて、

あと数分後には、
土曜の街のお節介な思惑が一気に流れ込んでくるはずだ。

そんな時と時の潮目。

もしくは、
ダレかの思惑と思惑との間に現れる時の凪。

この瞬間にのみ新宿は、
巨大な一地方都市である。

もちろんボクらは荒野を目指す旅に出るのであって、
こんな街の15分とか20分のステキさを味わうために
慣れぬ早起きをしてきたのでは無く、

「さあ、どこに向かおうか」

「とりあえず池袋ではないだろうか」

「うん、とりあえず」

ボクらのシミッタレた旅は、
「こうして」も「どうして」も無く始まる。
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コメント / トラックバック 2 件

  1. ki-machan より:

    西口に「新宿の目」というのがありますが、新宿に行くと、全身の穴という穴を見られているような、自分もそういった穴を見ながら街を歩いてしまいますね。

  2. >ki-machanさん。
    新宿の目、あるね〜。
    新宿の母もいて、みんな泣きべそかきにきたいんだろね、新宿。

    ところで、
    小田急の半地下みたいなところのレストラン街、
    和食屋中心で暖簾を並べているところが最近のお気に入り。

    どの店も老舗意識が高くて、
    これぞ江戸前な仕事にボチボチなお値段で出会えて、
    基本江戸前ファーストフードなところも新宿ならでは。

    大晦日の年越し蕎麦は、
    ここの更科でトンと済ませましたよ。

    トンとね。

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