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鳥取の深い夜から明けて
4月19日の日曜日

ボクらは廃線になったJR大社線の旧大社駅で行われた
第一回目の「音結び」というイベントに在りました。

地元の25才の有志で企画したイベント

出演は地元大根島出身のhiutaさんとPoPoyans

料金は2000円

集まって下さった方は106名
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ダレも知らないであろうPoPoyansのライブに106名

グローバルな馬鹿野郎がマネーゲームの成れの果てに創り出してしまった
金融恐慌な世界にあって、
ホントに出会いたいマインドが出雲に有りました。

前日の鳥取から先、
ボクがここに居る必然なんて全く無かったはずだけど、
しかしホントに行って良かったと思えた土地と人と唄の時でした。

さて、ナニから話そうか。

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鳥取から出雲までの3時間の道のりは、
noppoくんがレンタカーを駆って送ってくれました。

待ち合わせたコンビニの駐車場で
東京から来てた中野カルマのみんなとちぎれるほどに手を振ってお別れ

鳥取から島根までは海外線に沿った自動車道を駆け抜け
豊かな自然の美しさと土建政治的インフラのグロテスクさを合わせて眺め

カーラジオからはユーミンと山下達郎がナビゲートする古いラブソングが
初夏の日差しと踊るようにして流れていて

フィルスペクターの煌めくサウンドが
死のイメージより静かに感じた午後

時は4月

これから生まれる時は
この瞬間にも失なわれゆく時に乗っかっていて

ボクは飲みたくも無い缶コーヒーを買って飲んでいて
ボク以外の4人は24才の女子が2人26才の男子が2人

ラジオはカーペンターズの Close to you に変わる

なぜかしら?
あなたが近くにいると いつも急に小鳥達が姿を見せるわ
きっと私と同じね 小鳥達もあなたの傍にいたいのね

なぜかしら?
あなたが横切るたびに 星たちが空から降ってくるわ
きっと私と同じね 星たちもあなたの傍にいたいのね

きっとあなたが生まれた日に天使が集まって
夢を叶えようときめたのね

だからあなたの髪にムーンダストを散りばめて
その青い瞳の中に星のきらめきを入れたんだわ

だから街中の女の子があなたの後を追いまわすんだわ

きっと 私と同じね

みんなも あなたの傍にいたいのね…….

ハル・デーヴィッドが作詞して バート・バカラックが作曲して
カレン・カーペンターが唄う

失われたものと永遠に思えるものとの間にある小さな島
それを見つけて足場にして次の場所へ

土地は今まで出会った事の無い濃密な空気に包まれてゆく

カーナビがナニカを話し始めて
ラジオは堂本剛の孤独な唄に代わる

そうやって出雲に着く
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昨晩の主催者のnoppoくんと今日の主催者の伊藤くんが初めて出会う

軽く声をかけ合ってnoppoと別れる

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回りくどく描いてしまってるけど、
この夜のLIVEの記憶がポカリと浮かんでいるのは、
こんな旅の描写の上なんだな。

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飛び込んだ年老いた旧大社駅の駅舎でボクらは
出雲の25才と出会う。

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高校の同級生が社会に出て、
自分たちに必要なものを出雲に生み出すアクション。

「こんな時があるから毎日を頑張って生きてゆけるんだ」
そんな明快なイメージ

姫路で出会った時はちっちゃく見えてた主催の伊藤くん、
この日はめちゃくちゃ逞しく見えるんだ。

それぞれの土地にあって、
それぞれの土地に合ったアクションの渦中にある人は、
年齢に関係なく同じ高さの目線で尊敬を持って向き合わなきゃだね。

そんな若い姿に出会えただけでも
鳥取-出雲と巡った意味が豊かに心に刻まれます。

そして彼らをサポートする女の子たち、
誰かの恋人だったり、ドーナツ沢山作ってきたり、
受付で背筋をピンと伸ばしてお客さんを迎え入れたり、
やってきたPoPoyansを遠巻きにした位置から微笑みを送ったり
出会い頭のボクの狂気に顔を引きつらせながらも笑顔でいてくれたり、
そんな姿がめちゃくちゃチャーミング。
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東京で見失いがちだったClose to youが、
ここではまだみんなの胸で高鳴っているんだろね。

この日のみんなの輝きをさらに磨きに磨いて、
出雲だからこその美しい女になっていってくれよ〜!
なんてね、心から思ったよ。

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25才が幸せに満ちた顔してキビキビと働くところに、
フラリ出雲原人なスゲーいい顔した小学生が紛れ込んできたりしてね、
リハーサルのPoPoyansに目をパチクリさせたり。

ボクが願う唄のあり方はこんな景色の中にこそあるんだな。

沖縄には唄が生き、バリでは音楽が生まれる、
ニューヨークでHip-Hopが息づき、ロンドンでPUNKが炸裂し、
シアトルでFLEET FOXESてバンドが編まれ
ここまでの道のりでClose to youが聴こえたのなら、
出雲にはこの日の唄の景色があった。

出雲のアクションは鳥取のアクションと同じく、
世界であると思ったよ。

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リハーサルの直前にPoPoyansのチェルさん、
彼女が最も敬愛する松江在住の唄うたい浜田真理子さんの唄をうたう。

それはこの土地への挨拶のような、
自分への挑戦状のような1コの唄。

PoPoyansに出会った時から感じていた静かなセクシャリティー、
それは今は24才の経験以上のモノでは無いのだけれど、
これから歳と経験を重ねてゆくことで、
深い慈悲と官能を合わせ持つであろう予感に溢れたもの。

まあそんなことをこの2人に見てるのはボクくらいかもしれないけど、
彼女たちがバアちゃんになるまで向き合ってみたく思ったよ。

しかし、確実にボクが先に死ぬわけで、
ならば今。

生の息吹と共に、
そこに寄り添う死の存在を「当たり前のこと」として感じさせてくれる出雲。

共演のhiutaさんの唄が始まるのが分かっていたけど、
リハで聴いたその唄の誠実さがあまりにもリアルでね、
どうしても出雲大社に出会っておかなきゃって思って歩き倒した後 、
大社駅の窓の外からこの夜のLIVEを眺める。
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静かな出雲の空には星が見え、
午後から吹き始めた風がちょっと強まって、
暗闇に100名とちょっと人たちの息づかいが静かに感じられて、
hiutaさんの唄があって、
出雲の25才たちの見守る視線が熱くって、
PoPoyansの高まる緊張が好ましく感じられて、
そして本番。
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無骨な乙女の山陰の同世代に対する共鳴

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そのLIVEはまだ未完成であるのだろうけど、
ここまで長々と描いて来た景色の描写そのもののようなLIVEであったよ。

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出雲のみんな、
「音結び」の美しいスタートおめでとう。

その苦労の逸話に触れつつも、
最後の撤収の作業まで幸せそうに汗を流すみんなの姿に出会えたこと、
ボクの宝物になりました。

地域の中にあって手探りの作業であっただろうけど、
他の地域で同じ志しで奮闘する人があること、
ボクが長く続けて来た事、
そんな1つ1つの話に目を輝かせて耳を傾けてくれたこと、
これからのボクの活動の糧にもなりました。

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今日の誇りと今日の謙虚さを併せ持ち、
お金を右から左に動かすだけで冨を生むような価値観に振り回されない、
出雲ならではの幸せな時を紡いでいってくれる限り、
ボクらはまたこの土地を目指すはずです。

何より、
今回の旅でちょっとでも鳥取と出雲の若いハートが顔を合わせたこと、
そんな事の先に生まれる山陰の「次」が楽しみでならないのです。

そして、
今回出会った24才、25才、26才の情熱が摘み取られてしまうことの無い、
そんな社会であらねばなあと、心から願うのです。

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深夜から激しい雨になりました。
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そんなこともウレシく感じた山陰の土地と人の有り難さ。
そこで生まれた掛け替えの無い唄。

ありがとうございました。

AMIGOS
2009
PEACE!

さあ、東京。
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